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読解力低下はデジタル文化が原因ではない


 本題に入る前に記事へのツッコミから。

 読解力低下の原因はテレビ、ゲーム、スマホ、紙の読書をしないことだと指摘しますが、老害はいつの時代も子供が熱中するものにケチをつけて文化の発展を妨げるんですね。こういう人はもう絶滅したと思っていました。

 日本が誇れるアニメ・ゲーム文化は今この瞬間も世界で経済効果を生み出しています。大人たちはこの事実から目を背けたいようですが。批判ばかりしていたこの十数年で世界各国が競争して抜かれてしまいました。

 かつて日本人だけで制作していた作品もスタッフロールで外国人の名前ばかりになりました。これがどういうことか真剣に考えてほしいです。

 いつまでもアナログにこだわる原因はこの手の人たちが権威を持ち続けているからなんですよね。ハンコ文化にこだわる人と論調が全く同じです。

 この人たちを納得させるために紙媒体で読む文字とデジタルで読む文字で学習にどんな違いがあるのか科学的に検証しないといけないみたいです。


デジタル文化は読解力を上げている

 世代問わず絶望的に読解力がない人はいます。日本語を話しているのに噛み合わない、通じていない、別の生き物と会話しているような錯覚に陥ることはたくさんあります。

 これは先に否定した通り、デジタル文化に触れすぎていることが原因だと思いません。むしろコミュニケーション苦手な人でもネットがあることで人と関わる機会を得られるし、本を入手するのが億劫な人でも文字に触れる機会が増えていることは否定しようがない事実です。

 既に出版されている本というのは”過去の情報”です。出版社は過去の情報を編集して、一ヶ月後とか半年後に本にしています。もう変わっているかもしれない情報を消費者は最新の情報として読みます。

 それに校正された文章は自然ではありません。その時感じたままに綴られた人間臭さを雑誌や小説で読み取れる部分は少ないです。

 ネットが普及する前はそれでも問題ありませんでしたが、今は最新の情報が常に更新されていて、事実を探すにも読み手のスピード感が求められます。現代の若者はそこに費やす思考力は高いと思います。


読解力がない原因

 読解力がない状態って具体的にどのようなことを言うのでしょう。

 例えば、風邪を引いて具合が悪そうにしている人が「私は大丈夫」と口で言っていても他者から見れば怠そうなのは一目瞭然なので「この人は心配させないように気遣っているんだな、さりげなくフォローしてあげよう」と考えます。

 ところが読解力のない人の解釈は「大丈夫って言ってるから仕事任せよう」とそのまま受け取ってしまい、その人の心身の状態を自分に置き換えて想像することが出来ません。

 時々跳躍して「風邪なんて甘え、自業自得」と、弱っている人の目の前で説教を始める人がいますが、これは読解力がないことを諦めた人の最終形態だと思っています。このレベルになると「あなただって風邪ぐらい引くだろう」という問いかけは通用しません。

 つまり常に主観的。相手の立場で物事を考えない。体験不足から来る想像力の欠落=読解力のない人です。


合理的・論理的な若者は増えている

 若い時は特に動揺すると感情論に陥りやすいものだが、決して怒らず悲しまず「今自分の精神状態はこうだから、これ以上失敗する前にこうやって修正しよう」という反省が出来る若者を多く目撃しています。

 これはネット時代特有の現象だと考えていて、昔はただ闇雲に不安に陥っていたような状態も、検索すれば同じような悩みを持つ人の意見があって解消出来るようなことが増えています。だから自分の言葉で今の状況を説明出来ます。

 合理的に考えられる人が増えていることは個人的には良いことづくめだと思いますが、この思考がもたらした弊害は意味のないアナログ文化と対峙した時にモチベーションが下がり、仕事を辞めてしまうこと。

 その辞めた人たちのことを大人たちは「発達障害だ」と判断してしまったこと。

 そして障害認定された若者たちは合理的な思考を容認する文化の土地(海外)に流出してしまうこと。そういう若者が流出するとアナログ文化を改革出来る人材が消えて、精神論・感情論者だけが残って停滞します。


脳死状態で読書する意味はない

 自分が”痛み”を知っていて、相手の心情を考えられる能力こそが世の中的に言われている「読解力」です。

 そもそも読解力がないのに読書しても理解出来ません。読書する→読解力が身に付く訳ではないので順番としては逆なんです。

 筆者は大学時代、教授に「電子辞書なんかふざけるな、紙の辞書を持ってこなければ単位はあげられない」と言われ4,000円の国語辞書を購入するハメになりましたが、結局一度も使うことはありませんでした。

 恐らく冒頭のライターもその手のタイプだと思いますが、若者をリアルで見続けているなら自分の学術発展のためにも若者の文化に興味を持ってあげて欲しいと思います。ゲームの中で社会性、論理性を学ぶ場面はたくさんあります。

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