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東京23区保活攻略マニュアル・序章

はじめに(筆者について)

筆者は2016年に出産し、東京23区(港区・渋谷区・品川区)で3年連続保活した経験を持つ。そのうち渋谷区と品川区では見事入園したが、港区では不戦敗である(後述)。

港区では0歳児かつ第一子保活という背水の陣に挑み、いよいよこれ以上後がないというところで起死回生の渋谷区への保活引っ越しを試みた。首の皮一枚で渋谷区で認可保育園に入園させたが、それは第5希望・4駅先の電車登園・満員電車の地獄のハッピーセットだった。

読者の中にはもしかしたら"子連れ満員電車"といったキーワードを覚えておいでの方もいるかもしれない。そう、なんならTwitterで炎上までついてきて自分の子育てに見知らぬ人からあれこれとクソリプで指図をされてこれ以上ない保活地獄のフルコースを味わってきている。

しかしながら、そんな逆境をバネに私は子どもを2回、認可保育園に入れた。なんならクソリプ炎上の後に市民団体を立ち上げて1,000件以上のアンケート調査の結果を持って小池百合子東京都知事に会いに行った。

子どもを産んで以降、私は、社会に対して猛烈に怒っている。怒っているだけではなく、保活というモンスターをなんとか倒さねばならない。しかもこれだけ苦労しても(後述)保活は全然ラスボスじゃない。むしろ保活と戦ったら上手く仲間に引き入れて、保育園と家庭の二馬力で子育てという合戦場に突撃するのみである。

保活は受験と同じ競争

アホみたいに大真面目に、私の保活戦歴をこれから保活に挑む保護者たちにシェアしたいと思う。認可保育園に入った。しかも2回。これがどれ程血の滲む努力であったかは、保活を経験していればわかるだろうし、子どもを持っていても待機児童問題に直面していなければ微塵も共感できないかもしれない。

そんな私の保活マニュアルを、あらためて2021年版としてここにまとめたいと思う。はじめに断っておくが、保活は受験戦争と同じである。

1.偏差値(保育指数)によって志望校(入園希望)が決まる
2.同じ試験はないが、過去問から傾向と対策は立てられる
3.予備校なしにストレート合格するのはごく一部の天才(運と環境)だけであり、努力すれば偏差値(保育指数)は上げられる
といった具合に。

保活の合格ライン

合格・不合格という無常な判定は、保活にも存在する。なぜなら、この世の中には法に基づいて定められた保護者や労働者といった定義があり、一度その定義から外れてしまえば、たとえ休みなく働き納税をしていたとしても、労働の実態を認めてすらもらえないのである。そういう意味では、正社員共働きという保活のスタートラインにすら立てない自営業や就学中の保護者にこのマニュアルを贈りたい。私自身、夫と夫婦起業した自営業者として3回の保活に挑んだ。はっきり言って、受験勉強よりも就活よりも婚活(してない)よりも大変だった。人生でぶっち切り理不尽で辛かった経験が保活と言っても過言ではない。それなりに修羅場をくぐってきたが、それでも公的に存在を否定されるという屈辱も相まって保活がぶっち切りで憎い・・いや辛かった。

保活の第一歩:保育園入園活動とは

保活とは、保育園入園活動の略である。
ここで練習問題。

問題:保活の申込みのやり取りとして実態に近いものを次のA〜Dから選びなさい。ここでいう保活とは、待機児童が生じている自治体での入園選抜のことを言います。

A:「働いているので子どもを預けます」「預かります」
→ごめん。偏差値ゼロです。そんなわけない。

B:「働いているので子どもを預けます」「預かりたいのですが、空きがありません」
→現実に一歩近づいたよ!でも、自治体はそんな風には言わないよ!

C:「働いているので子どもを預けます」「あなたはどんな風に働いていますか?証明ができますか?年収はいくらですか?勤務時間と休日は?配偶者は?親は?まだ働いてるの?子守できないの?どうしても来れないくらい遠方か高齢なの?納税額いくら?今年の1月うちの自治体にいた?あとから引っ越してきてないよね?子どもは何人?1人目だと加点ないから厳しいよ?2人目どうすんの?(親戚かよ)どうせ1人目待機児童してる間暇なんだからそのまま2人目どう?そしたら兄弟ポイントで2人まとめて入れるよ?育休明けポイントもつくよ?え?育休ない??あなた、もしかして正社員じゃないの?じゃあ帰ってくれる?」
→これをめちゃくちゃ事務的に箇条書きしてあるのが、23区の「保育園入園案内」です。私はこれでシナモロールが一時期嫌いになりました(品川区のキャラクターになっている。シナモロールに罪はないが80Pにわたってのんきな顔であまつさえ吹き出しすらついているコイツに私の苦労がわかるものかという気持ちで入園案内にアンダーラインを引きまくっていた)

「働いているので子どもを預けます」「預かります」と言って子どもを預かってもらえる制度は、日本(の待機児童が生じている自治体)には存在しない。

私の心象をMAXにした選択肢Dがこちら。

D:「働いているので…(食い気味に)「あなた正社員ですか?フルタイム?パート?自営業?ダメダメ!他所をあたんな!早くしないと認証もどっこも埋まっちまうよ!そんでポイント稼いでから来年出直してきな!!こちとら箱が足りないんで入りたい保護者はいくらでもくるんだ、あんたみたいな社会不適合者はお門違いなんだよ!!NEXT!!!」…子どもを……(GAME OVER)てなもんである。

どんだけ被害妄想なの?と思われるかもしれないが、一言一句言われた台詞ではもちろんない。(自治体職員さんはみんなきちんと丁寧に仕事をしておられます)しかしながら、そのような内容をめちゃくちゃ敬語にした上で窓口の職員からも保活のマニュアルからも内閣府の子ども子育て応援ナントカからも100ぺんは言われている。

あなたに子どもを預ける資格があるんですか?と。

子どもを預けることに資格があるだなんて。ましてやポイント(保活指数)で評価されるだなんて。

そもそも、自営業の保活という想定がない

これは衝撃だった。
言わば私がやってきた仕事は、通知表には乗らない課外活動なのである。しかも内申書的にはなんならマイナスである。この人、正社員じゃないんで、と担任からチクられてる状態。お陰で書類が増える。

正社員だったら勤務先からの証明ひとつで済むところを、
・勤務実態表(24時間表記で過去3ヶ月分)
・取引先との契約実態の書類
・売上を示す通帳のコピーや残高
といったアホみたいな仕事を増やしてくる。
他人の仕事を増やすやつは仕事ができないに決まっている。日本のお役所というのは、このご時世に働いて(結婚の有無は問わない)納税して子どもまで産んで、それでもなお働いて世に貢献しようとする保護者にムチを打つ。恐ろしいほどの弾圧ぷりではなかろうか。

続く。

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