ドラマ「財閥家の末息子」が面白い
JTBC「財閥家の末息子」公式サイト https://tv.jtbc.co.kr/rebornrich
最近見たドラマの中で秀逸だった「財閥家の末息子」について紹介します。
韓国ではドラマ公式サイトにほぼ確実に掲載されている「企画意図」。
これがなかなか面白いのですよ。
多様なジャンルのドラマが百花繚乱、比較的視聴のハードルも下がった昨今では、
どの作品が自分の心の琴線に触れるか予測するのも至難の技。
次はどれにしようかな。
そんなとき私は話題の作品の骨となる部分、公式サイトの企画意図を読むことにしています。
ということで、まずはJTBC「財閥家の末息子」公式サイトの企画意図にあたる番組情報と、
第一話あらすじを抜粋しご紹介します。
「財閥家の末息子」番組情報
スニャン家の忠実な僕(しもべ)、ユン・ヒョヌ。
身も心もすべて捧げた努力の代償は、人生“ログアウト”!
だが彼が目覚めた場所は、1987年の韓国、スニャン家だった。
財閥家の下僕ユン・ヒョヌから財閥家の末息子チン・ドジュンへと、人生、”リブート”!!
誰も想像できなかったどんでん返しで、二度目の人生が幕を開ける。
ヘル朝鮮(*)の若者たちの絶望のシグナル「今/生/詰」、「今生、詰んだ?」
ならば来世はうまくいくのか?
私たちは知っている。そんなことは決して起こらないことを。
ただ、来世でもあってもいい、苦難の人生から救われたいと願うだけだ。
「今/生/詰」はまだ、絶望のシグナルではない。
私たち若者が、今生から送る、切実に助けを求めるシグナルだ。
日増しに二極化が進み、出自が階級に直結する社会。
親こそが最大のスペックであり、才能ともなる世の中。
生まれ落ちた瞬間、ゆりかごから墓場までが一発で決まるとしたら、
苦難の人生を生きる意味はあるのだろうか。
あえて希望を謳うことはできるのだろうか。
誰もが「人である」という理由だけで、祝福され、尊敬されるべきだと、今も信じている。
そんな世の中を夢見ることが、
もしかすると生まれ変わるより、タイムトラベルより、憑依よりも、
さらに不可能なファンタジーだとしても。
*ヘル朝鮮:韓国の国民が、学歴差別の激化や若者の失業率の増加、経済的不平等の拡大など、韓国社会の生きづらさを「地獄のような朝鮮」と表現したスラング。
(番組概要ここまで)
「財閥の末息子」あらすじ 第1話
韓国最高の財閥スニャングループの未来資産管理チームのチーム長ユン・ヒョヌ(ソン・ジュンギ)。
その派手な肩書きとは裏腹に、事実上の彼の業務は経営者一家が起こす事件の尻拭いだ。
一言で言うと、忠実な執事であり、お世話係のようなものだ。
泥のスプーン(*)出身で高卒のヒョヌは、同僚からあからさまな軽蔑を受けながらも黙々と責務を果たしていた。
海外に隠された一家の莫大な資産を取り戻すという特別な任務を課せられたヒョヌ。
これは果たしてチャンスか?罠か?
*泥のスプーン:貧しい家庭に生まれることの比喩。恵まれた環境に生まれることを「金のスプーン」と表現する。
(あらすじ ここまで)
みどころと所感
ソン・ジュンギが演じたのは、貧しい家庭で育ったが故、優秀でありながら大学進学を諦め、無職の父と弟を養うためにスニャングループの職員として忠実に働くことを選んだ青年ユン・ヒョヌです。現代の韓国社会の抱える問題のひとつである、二極化による格差にフォーカスすると同時に、主人公が軍事政権の終焉と民主化の夜明けの時代に転生したことにより、韓国の激動の現代史が背景に織り込まれた逆転劇が描かれます。
物語はファンタジーな要素も含むため、ヒョヌは前世の記憶を持ったまま、財閥スニャングループの創業者チン・ヤンチョル(イ・ソンミン)の四男の次男、財閥の末っ子チン・ドジュン(ソン・ジュンギ)としての人生を生きることになります。前世の記憶を持っていることがキーですね。先見の明がある(というより先を全部知っている)ことから、祖父であるヤンチョルのハートを掴みますよ。未来を知るからこそ大体の計画が順調に進み、これにはちょっとズルいんじゃないかと思いつつも、ソン・ジュンギがニコッと笑うと「ま、いいか」と流してしまえるのが困りもの。
まだ見たことのない方のため、ネタバレは控えますが、創業者チン・ヤンチョルと、その孫として生まれ変わったチン・ドジュンの関係性が変化していく様が見応えありました。
「財閥」と聞いて、みなさんはどんなイメージが浮かぶでしょうか。現実では少し前のナッツリターン事件を思い出し、これまで見てきたドラマでは、傍若無人に振る舞うけれどなぜか許されてしまうキラキラのやんちゃな財閥が目立ちますが、スニャングループのチン・ヤンチョル会長は違いますよ。画面を通して目が合う(?)だけで息を止めてしまうほどに、全てを見透かすような鋭い目つきと圧倒的存在感でグッと相手を制します。小さな精米所を財界一位のスニャングループに成長させ、社会に影響を与えた偉大な人物ですから。売り上げが奮わない自動車製造部門にロマンを抱き続ける姿に、良い意味で人間くさいところが感じられたかと思うと、突然冷酷な一面を見せる隙の無さもあり、中盤からはヤンチョルの登場が楽しみで仕方ありませんでした。
ヤンチョルには息子三人と娘一人がいますが、彼らのてんやわんやは、ぜひドラマで観察してください。ヤンチョルとドジュンについて、簡単にご紹介して今夜は終わります。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。