見出し画像

企業広報バイブル #33 共同記者会見とありえない事件

🎵日米のリーディングカンパニーで企業広報を統括して気付けば28年。IT系、インターネット系、不動産、エンターテインメント企業、広告代理店、流通業界トップ企業広報アドバイザーまで色々。かなりの私見も交えて色々書いてみようと思い立ちました、、、🎵

素敵な画像。ちょっと心が和む。さて、本日はそこそこ大きな会社では、たまーにある、ビジネスパートーナーとの共同記者会見のお話。
いやあ、大嫌いですよ、私。共同記者会見するほどの大ネタに当たった広報としては、嬉しい限りではありますが、会見前は2社の調整がチョーーーめんどくさい。

共同プレスリリースを準備、これも厄介なのだ。だいたい、業務提携といっても、両社から見たメリット的なところなんて、完全一致ではありません(苦笑)。
卒なくお決まり文句を使ってリリースを準備した後、広報に降ってくるのはFAQ。質疑応答に備えての問答集作り。こんなことを聞かれたら、こっちの会社の誰がこう答えましょう、この質問の場合はと、両社で回答者と回答内容をコンセンサス取っておくのである。ここでも、広報同士少々の戦いがある(利害は100パーセント一致してないので)。この質問には当社はこう答える、いや我が社はこう答えたい、いやいや、こうは言ってほしくはない(あああ)、では、これは言わず、こう答えていきましょう(はい、平和!)、という具合である。

広報同士の戦国無双が裏で繰り広げられ、、、、やっと決着したあとは、会見の列席者(ポジション)と席順。
ああ、これが一番嫌なんだよ。こちらから2名、あちらから3名?いや、人数は公平に、え?ポジションのバランス大丈夫?そっちが社長、専務、担当役員、、、と、、なら、うちは、、、

ええ、うちが社長出すって言っているのに、相手は社長なしで3名?いやいや、じゃあうちも社長は出せないっしょ。なんて、どーでもいい事が繰り広げられるのである。本当にどうでもいい。メチャクチャどうでもいい。が、、、誰が出る、並び順はどうする、で意味不明な会議に巻き込まれる広報(げんなり)。

時として、もっとすっきりと共同会見に至る、もあるのだが、、微妙に拮抗している2社の共同会見など、不毛な準備時間が流れるのである。どっちの広報も、自社の社長は良く見せたいし、列席役員だってそれなりな扱いで行きたいから。これ、愛。

ある会見での出来事。相手の会社の方が遥かに大きい会社で、我が社のがベンチャーだった。ほとんど、先方の会社の意向を飲み、やっとやっと調整がつき、、、会見当日。そこそこメディアの参加者は多かった。しかし、広めの会場はさすがに満杯ではなく、なんと、会場の最前列に先方の広報部員が5名も陣取り社長を見守っていた。ちょっとムカついた。

会場担当は私のチーム。壇上、減らしたくとも調整つかずの状況にて6名の列席者が長机に着席していた。壇上はマイクが4本(各社2本)、コードレスではなかった(ごめんなさい、、、)。横に長い机の上のゴチャゴチャなコードを隠すように低く造花が机の端から端までで飾られていた。6名にもなって机がこんなに横に長くなるとは想定外だった準備側、、、マイクコードの長さが足りない。リハーサルで状況を聞き、少し嫌な予感がした。マイクを持ったまま中央の列席者(社長)が立ち上がると、マイクは腰の高さまでしか上がらない。リハーサルで何度も、「着席で失礼します」、と司会者が促すので、皆様着席にてお話ください、コードが足りないので決して、決して、、とお願いしていた。みんな、みんな、頷いていた(はず)。

本番。なぜか、、第1声、ご挨拶をする先方社長が(司会者が着席で、と促していたにもかかわらず)テンパって、マイクをしっかりと握ったまま立ち上がった。マイクが上がらず、彼は全力でマイクを引っ張った。短いマイクのコードは隠すために造花の下に、それも、他のマイク3本のコードとひと束にガムテープでグルグル巻かれた状態で隠されていた。

信じられないのだが、、、マイクを持ったまま、、、その社長は立ち上がることに成功した。しかし、、、その代償として、全てのマイクのコードを引っ張りあげてしまい机の上の造花が全部、、、一瞬で前方(客席側)に落下したのである。本番中に、、、
客席最前列に陣取った広報陣は、大声で、「し、社長ーーーーー」と駆け寄った。
(修羅場である)

会場も流石に瞬間は凍りつき笑いも起きず、、少ししてクスクス声が漏れ、恥ずかしい思いをした大会社の社長様と、青ざめている広報陣。さすがに、今、私は記憶を辿っても、その後どうなったかの記憶が抹殺されている。


この記事が参加している募集

#広報の仕事

3,475件

#仕事について話そう

109,816件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?