フランス革命の構造

フランス革命は、特権階級である聖職者と貴族が有していた権力を奪うために平民が起こした戦いです。
標語はLiberté, égalité, fraternitéです。
Libertéは解放の意で、
égalitéは記号「=」の読み同様、ラテン語のaequalisが語源で平等の意です。

友愛、博愛とも訳される、最後のfraternitéはfrère(兄弟)と同根です。
フランスの聖職者はカトリック教会に属しますが、
信徒にとって神父は「父」です。
キリスト教では絶対神は父と見做されることからも、
父と子の上下関係は絶対的なものです。

革命に参加する同志は父と子のような絶対的な上下関係でなく、
対等な兄弟としての絆で繋がろう、というのがfraternitéです。
日本と異なり、兄弟の年齢に由来する上下関係はありません。

裏を返すと、特権階級側にとってはこの3点は許しがたいことです。
平民に好き勝手させるわけにはいかない、平民との平等なんて問題外、
そして平民は神と人のような神聖な上下関係できっちり抑え込むことが望みです。

特権階級側は下手に知恵がついた平民をどう御せばいいのでしょうか。
抑圧しきれないのであれば、躱せばいいのですね。
お上の横暴からもう解放されているような幻影を見せつつ、
肝心なところはきっちり抑えます。
完全な自由はありません。
平等な機会を与えつつ、実際には逆転しにくい仕組みを作ります。

そして、他の人は皆、赤の他人でなく兄弟のようなものと思わせ、
仲間割れをタブーにしておくことで、自分たちが多少悪さをしても攻撃されないように場を整えます。

異を唱えにくいような標語を喧伝している人たちは、果たして真に割を食っている側の味方なのでしょうか。
特権階級の者たちが、そして厳しい戦いを乗り越え特権階級に成りあがれた者たちが、
せっかくの権利をあっさり放棄すると思いますか?

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