夜の森、秘められた誘惑 10 中西沙織 2021年4月20日 17:01 森に一瞬、甘い香りが立ちこめた。その主は、テイカカズラという。木々や岩をよじ登るつる性の植物で、毒を持つ。初夏に咲く花は、夜が近づくにつれ、強く匂いを放ち白い花びらが、仄かに発光して見える。暗闇に舞う蛾を、誘い寄せるためのものだ。したたかで、どこか秘密めいた野生の姿はむせるような甘さとともに、いつまでも心を捉えた。Photo こんどうみか 「ほとりプレスvol.1 -ほとりの景色-」より ダウンロード copy #エッセイ #フォトエッセイ #野草 10 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート