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夜の森、秘められた誘惑

森に一瞬、甘い香りが立ちこめた。
その主は、テイカカズラという。
木々や岩をよじ登るつる性の植物で、毒を持つ。
初夏に咲く花は、夜が近づくにつれ、強く匂いを放ち
白い花びらが、仄かに発光して見える。
暗闇に舞う蛾を、誘い寄せるためのものだ。
したたかで、どこか秘密めいた野生の姿は
むせるような甘さとともに、いつまでも心を捉えた。

Photo こんどうみか 「ほとりプレスvol.1 -ほとりの景色-」より



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