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「多様性」という言葉の速歩き

多様性社会なんて言われてから、随分経つ。しかし真にそう感じている人は、一体どれ位いるのだろう。というのも、そう思う出来事にこの前出会った。

セミナーの自己紹介で、「自分の好きな食べ物」を言っていく機会があった。皆がパスタやピザ、お寿司などを挙げていく中、私が「豆腐」と言うと

ええ~(皆の心の声)

と若干引き気味の表情で反応された。何か間違ったことを言っただろうか。毎日にがりをコップ一杯飲んでます、とかならその反応も分かるのだが。豆腐って食べ物じゃん。いっそのこと、自分で手作りしてます!くらい言っておけば「すご~い」なんて反応をされたかもしれない。

インバウンドの増加や猛暑で、米の値段がかなり上がっている。家計には大ダメージだろう。ちょっと言っていいだろうか。そんなに麺類や小麦粉が好きなら、お米を食べなければ良いじゃない。(某ヨーロッパのお姫様風)豆腐に引くのなら、買わなければ良いじゃない。…すみません、少々暴走しました。

食べる物に制限の厳しい「ヴィーガン」というのを近年知って、これは動物性食品を一切食べてはいけない。「ベジタリアン」という言葉と人は随分前から存在するが、恥ずかしながら本当の意味は知らなかった。なんとなく響き的にベジタリアンの方が厳しそうだが違うようだ。

前からいるのに、存在するのに。いざ出会うと「何故そのような食生活をしているのか」と不思議、もっと言えば怪訝な顔をするのか。全くもって個人の自由だろう。もしかしたら問題なのは聞くことではなくて、聞かずに「この人理解出来ない」と思うことではなかろうか。まあ毎回聞かれて答えるのも大変だし、特に疑問もなく「そうなんだ」とサラッと流せる人もいるだろう。

新しい言葉はメディアなどが取り上げれば、広がるのは速い。しかしそれが個々のレベルで本当に理解されるには、実は意外と時間が掛かるのではなかろうか。「多様性」という言葉も広まったは良いものの、言葉だけが速歩きしていて実質がイマイチ伴っていないと感じるのは私だけだろうか。


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