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制作ー概要ー


(渋谷に関する情報は2019年12月迄のものとなっております。)



まとめ卒制



渋谷グリーンラボ 

ーー植物の汎用性を探るーー



プログラム

植物を植物たらしめるのではなく、プロダクト・ファッション・テキスタイル等、多様に活用される植物を『作品』として研究・展示する施設


目的

アーティスト・クリエイター・訪問者にアイデアやインスピレーションを提供する

渋谷川遊歩道の活性化

隣接する渋谷清掃工場の熱源再利用化


動機

研究の題材として植物園を巡っているうちに植物そのものの形態に関心を持つようになる。界・門・網・目・科・属・種、先例や類似物が多く存在する中、遺伝子を残す為、環境に順応した形や色、虫や鳥を引き寄せる素材や香りを自らデザインし変化していく姿が、クリエイター(アーティスト)の制作過程に類似していると感じた。

 大学内外で、あらゆるジャンルの作品、その制作者と関わった。知識や観点が異なっても、己の存在を表現した「何か」は人間くさく感動するため、私はとても好きだ。クリエイターの為の施設をつくりたいと思った。


敷地・背景

対象敷地 /  東京都渋谷区東1丁目31−14


《渋谷を選択した理由》

1、ジャンル問わずカルチャーやクリエイターが集う場所

2、ユーザー年齢層が広範囲

3、廃熱利用できる清掃工場の近辺(温室の熱源確保の為)


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渋谷駅周辺にてヒカリエ(2012年開業)をはじめとする都市再開発計画が施されている。谷地に高層建築物が建設されていくと共に渋谷の認識も変化し、今やかつての『渋谷カルチャー』はなく『カルチャーの集合地点』として公然と認識されている。


今回対象とした敷地は、渋谷ストリームから南に徒歩5分。渋谷再開発の中で緑化計画区域とされている場所である。

東横線が地下化し渋谷川が表出したことで出来た遊歩道の終点で、明治通りに面するペンシルビルの裏側が露わになり渋谷の変遷が顕著にあらわれている。

現在遊歩道では作品展示していたりベンチで休息をとる人がいるものの、滞在する人や渋谷ブリッジまで足を延ばす人が少ないのが現状。

(2020年1月時点)


ダイアグラム

一定の環境が求められる展示室  ×  自然に近い環境が求められる温室

温室内に展示室を挿入していくことで相反する条件を解決。建築のイメージおよびダイアグラム、設計までのプロセスはメトニミー(換喩)を利用している。(詳細は後日投稿予定)


設備

隣接する清掃工場の廃熱を、蒸気タービンで電気に、熱変換機で温水に変換する。冷えた排水は復水路を通り再び焼却炉で熱され再び温水として利用される。自立型の高さ25mのダクト4本で天井中央部まで温風を送り循環扇で1780㎥の温室内の環境を維持。形状が球体のため温風は曲面壁を伝い降りてくる。


発展

企画は基本外部が持ち込み、その展示にまつわる植物やイベントの設営などを運営側が行う。アーティスト・クリエイターの希望に合わせて展示場所を選択。

6つの展示室の他にも、カフェやクラフトコーナー、イベントホールで視覚だけでなく五感を使って施設を楽しむことが出来る。温室内には栽培所もあり、カフェで提供する食べ物や作品の原材料を栽培している。

立体導線を利用したファッションショーや、球体の温室を生かした演奏会、夜には渋谷川に光が反射し、渋谷ストリームにいる人も遠距離から施設を眺めることが出来る。

 樹木が土の中の養分を吸い上げ、枝を伸ばし葉を増やし、また根を広げていくように、渋谷グリーンラボも人を引き寄せ、施設内の作品と植物からアイデアをもらい、アーティストや訪問者がそれぞれの場所で羽を伸ばせるアイデアの宝庫のような施設となるのである。


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