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歌いたかったラブソング

コロナ以降、カラオケに行けていない。

そんな頻繁に通っていたわけではないけれど、
時折大声で歌いたくなるもんだ。

一人でいけばいいのだろうが、なかなかハードルが高い。

私の新人時代は、ちょうどカラオケの全盛期。
二次会はカラオケが定番だった。

飲み会の予定が近くなると、
アセアセとTSUTAYAにいって

シングルCD(みんな知らんやろな)をレンタルして、
最新の曲をマスターしてから赴いたものだ。

私は声量はあるが低めの声なので、
なかなか女性シンガーの曲は辛い。

よく歌ってたのは、エレカシや斉藤和義。
それ以外はアニソンに逃げていた。

友人や、会社の同期のときはそれでいいけれど、

困るのが、支店全体などの縦社会のガッチリした会と、いわゆる合コンだ。

それなりに新しく、

またベタでもなく、

女性らしさを兼ね備えた曲をセレクトせねばならない。


それでいて、だれも知らない曲だとしらけさせてしまう。

しかし、せっかくのTSUTAYAレンタルで
自己投資して覚えた曲も、
誰かに先を越されては計画がパアである。

他の人の歌に合いの手をいれながら、
彼女たちのセレクトを
真剣に分析しながら歌わねばならなかった。

今思うと、余計なエネルギーをずいぶん使っていた気がする。


合コンでカラオケにいくのも、
当時は流行っていたのだが

私はかわいくない反逆ギャルだった。

いつもはハンカチも使わないような友人が、
男性の前ではコップの下についた水滴をそっとぬぐったりしているのを見て、

やたら腹がたって、その場にいるのも嫌になっていた。

友人が女にかわる瞬間が、嫌だったのだ。

あんしんパパの

「はじめてのチュウ」みたいなふさげたのを自ら歌い、


「あたいはそのへんのチャラチャラした女じゃないんだぜ」

と変なアピールをしていた。

もちろん、これで彼氏なんてできるわけない。できたらそれこそ奇跡である。

でもね。ピリカは最近思うのよ。


ああ、あの時へんに突っ張らずに
森高千里の渡良瀬橋でも歌っとけばね。


別の人生もあったのかも、と。

まあ、別にいいけどね。

あんしんパパで。



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