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子どもを預けて夫婦で映画を観るという挑戦

初めて子どもを知人家族に預けて夫と映画を観にでかけた。今まで、夫に子守を任せて美容院に行くなどはあったが、家族以外の方に完全にお任せするのは初めてだ。親も親戚も近くにいないので、子育てを開いていきたいとは思っていたが、いざ離れるとなると少し緊張する。

子どもは現在5ヶ月。あと少しで6ヶ月。人見知りもまだあまりなく、会合などに連れていくと誰に抱っこされても機嫌よく過ごしている。預かってもらうAさん夫にも何度も抱っこしてもらったことがあるので心配はしていなかった。しかし、いざ預ける場面になりAさん妻にオムツやミルクを渡して説明をしている背後で、Aさんに抱っこされた子どもが大泣きする声が聞こえてきた。「じゃあ行ってくるね〜いい子にしてるのよ」などと声をかけて顔をよく見てから行こうかと思ったが、そんなことをしたら逆効果になりそうなので、「それじゃ」と逃げるようにその場を離れた。

去り際、後ろ髪を引かれて子どもを振り返る。いつも以上に見開いたまんまるで真っ黒なリスのような目の端に大きな涙の粒が定まらない円のまま揺れ、それらが流れたであろう直線が幾筋も頬に光っている。眉は上がり、全体的に顔が強張っている。口は大きく開き、喉の奥から絞り出した泣き声は高く渇いていて、途切れ途切れに音になって少し遅れて耳に届く。

静止画のようにあの瞬間の表情が瞼に残る。ニコニコしながら別れる場面を想像していただけに、突然の子どもの豹変ぶりに驚き少し不安も感じたが、車に乗り込んだら気持ちを切り替えて、半年ぶりの二人の時間を楽しんだ。