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「ママのための」ではなく「ママも共存」できるユニバーサルな場

先日、友人の主催するワークショップに行ってきた。

真鍮のパーツでモビールを作るワークショップだ。場所はお洒落な雑貨屋さんの一角のようだが、ママ向けを謳っているわけではないので雰囲気はわからない。友人は赤ちゃんと一緒に行ってもOKと言ってくれていて、彼女も二児の母である。彼女に久しぶりに会いたかったのと、そのモビールをどうしても作りたかったので、参加することにした。果たして、生後2ヶ月に満たない赤ちゃんを連れて思うように作れるのだろうか。

赤ちゃんを連れて町におでかけすることは、私にとって一大イベントだ。化粧をし、自分と赤ちゃんの身なりを整え、オムツなどの持ち物を揃え、赤ちゃんの腹を絶妙にぎりぎりのタイミングで満腹にする。

早めに家を出るつもりが遅刻してお店へ小走りで入ると、すでに皆さん制作を始めている。ああ空気を乱してしまったかな…と心配になるが、皆自分の作品に集中している様子。ホッとして、ゆるく加わる。床に敷物を敷いて子どもが遊べるスペースを作ってくれていたので、そこにチャイルドシートごと寝ている赤ちゃんを置く。赤ちゃんから少し離れた席に座り、今のうちにと私も作り出す。

友人と店主さん、参加者の一人は知り合い同士で、皆経産婦さんのようだ。私の赤ちゃんがぐずるとすぐあやしてくれ、「こんなのは泣いているうちに入らない」とうまくいなしてくれる。最初はお子が「ホギャ」と言う度にハッとしていたが、その都度誰かがいい具合に可愛がってくれるので、そのうちに没頭して、2時間くらい全く赤ちゃんに触れずに自分のモビールを作り終えることができた。

時間が開いておっぱいも張ってきたので、車で授乳して帰ろうかなと考えていたら、経産婦さんチームがささっとパーテーションで授乳スペースを作り、椅子とストーブまで用意してくれた。帰りには、たくさんある私の荷物を当たり前のように車まで一緒に運んでくれた。痒いところに手が届く細やかな気配りに、心底感動した。

そして、帰り道にぼんやり考えていて、「赤ちゃん連れのママ向け」を謳っていない場に行くことに対して、自分が心細い思いを抱いていたことに気づいた。助産師だから授乳や月齢に応じた児の変化は頭でわかっても、赤ちゃんを連れてお出かけする時の母の繊細な気持ちや、どういう環境や雰囲気があると助かるのかは全くわからなかったからだ。

そして、このイベントが、特にママ向けじゃないのにそっとナチュラルに赤ちゃんにやさしい環境を整えてくれたこと、自分の独身時代からの趣味嗜好と赤ちゃん連れの自分が共存できたことが、ものすごく嬉しかった。

いざ自分が親になってみて、「ママのための」もいいけれど、「今までの延長線上に赤ちゃん連れでも楽しめる場」があってほしいと切に感じる。

「ママのための」ではなく「ママも共存」できるユニバーサルな場ってどんなだろう。赤ちゃん連れだと、何ができて何ができない?どうしたらできるようになる?
まだ赤ちゃんを連れて外の世界とうまく融合することができていない今だからこそ、リアルに感じることがある。

お出かけ練習、勉強になるなあ。そして、経産婦さん、超頼りになるなあ。本日の名言、「友達とママ友は違う」。日々精進。
(産後59日)