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不可能を可能にする方法

私は昨年の四月から、職場から車で40分かかる大山町という所に住んでいる。オンコールという、お産に呼ばれたら20分以内に駆けつけなければならない勤務があるにも関わらず、だ。

どうしてそんな魔法みたいなことができるのか。物事は、だめな理由を因数分解して小さなペケをつぶしていけば、案外クリアできてしまうこともあるようだ。

大山に住むにあたって大きな障壁となるのは、上記のオンコールと、雪問題である。山は雪が降るのでとても通えるような場所ではない。だから、大山に住むのは不可能。そう思い込んでいた。でも、逆にそれさえなんとかすれば、住めるのだ。

仕事を始めてすぐの頃は、職場から5分圏内に住んでいた。呼ばれたらすぐに飛んで行ける距離なので、慣れないうちは便利で良かった。しかし、2年も住んで大分仕事にも慣れてきたら、せっかく鳥取にいるのに職場直近のマンションに住むのはナンセンスな気がしてきた。それで、職場から20分の北栄町にある友人の古民家に転がり込み、一緒に住むことにした。

職場からは、もちろんブーイングだ。そりゃあ、近いにこしたことはない。でも、早めに呼んでもらうことにして、オンコールもなんとかこなした。心配していた片道20分の通勤時間は、天気によって変化する大山や広大な田畑を眺めるドライブとなり、全く苦ではなかった。

ひょんなことから大山に住む話が出て、最初は北栄と大山の鳥取内2拠点生活をしていた。でも、大山から通うことにも慣れてきたので、オンコールの日だけ北栄の家にスポットで泊まらせてもらい、それ以外は大山に移ることに決めた。これが、オンコールのからくりだ。月5〜7回あったオンコールも、3回に減らしてもらい、その分夜勤を増やしてもらった。行ったり来たりが多い日勤よりも、2日分働く夜勤の方が通勤時間の長い私にとっては都合がいいからだ。与えられた勤務は絶対動かせないと思っていたが、相談してみれば案外対応してもらえて驚いた。ダメもとでも、自分の意思を伝えてみることは大事だと思った。スモールステップで、5分を20分、40分にと広げていったこともよかった。「案外平気じゃん」という実感は、強い

雪が降るのは恐怖だが、同じ要領で、いよいよ通えなくなったら職場近くに住んでいる先輩の家に駆け込ませていただくことになった。最悪、職場に泊まることもできる。ドキドキしながら迎えた初めての冬だが、今年はまさかの暖冬で、今のところ誰にもお世話になっていない。

つまり、今まで通りの勤務形態で、頑に人に頼らず自分一人の力では、大山に住むことは不可能だった。でも、友人や職場の方達にお願いしたり、しなるように臨機応変に自分を適応していくことで、不可能だと思っていた大山暮らしが可能になったのだ。これは、自分でもとても驚くべき発見で、そしてなんてワクワクすることなんだと思う。まだ冬は終わっていないし、大雪が降ったらとても困るけれど、そうなったらあの人に助けてもらおう、と思える人がいることが嬉しい。

はてさて、このまま逃げ切れるか2019年、冬。