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2度目の初経

産後10ヶ月、妊娠中も含めると約1年半ぶりに生理がきた。ちょうど、夏休みラジオ保健室というNHKのラジオで初潮を迎えた中学生の声を聞いていた直後だったせいもあり、自分も2度目の初潮を迎えたような気分である。そろそろ来るかなと思って迎える生理と、予期せぬタイミングでやってくる初経とでは、こちらの心の準備が全く違う。「生理って赤いって聞いてたのに、赤くないじゃん」という女子中学生のことばを思い返し、ほんとにその通りだなとショーツに茶色く付着した経血を見て忌々しく思う。ああ、また生理が始まるのか。少し憂鬱になる。

思い返せば、全く予兆がなかったわけではなかった。数日前から気分不快が何度かあったり、「なんか調子悪いな」とは思っていた。異様に便秘ぎみでもあった。産後8ヶ月を越えたあたりで70-80%程度の人が生理が再開するとあったので、その頃は敏感に子宮に集中していた気がする。しかし幾度に渡る自分への「生理かも生理かも詐欺」に疲弊し、すっかり気が抜けてしまっていた。「授乳もしているしまだ先なのかな」なんて大きく構えていた無防備の今、それは突然やってきた。

久しぶりの生理は、ちょうどコロナワクチン1回目接種とも重なり、身体が絶不調だった。まず、だるい。そして経血が出る感覚も久しぶりで慣れない。ナプキンを充てるのも、昔はそういうものだと思って特に気にしていなかったが、久しぶりに行うと不快で仕方ない。夜も添い乳であっちこっち向くのに、漏れないか心配になる。なんというか、産後子どものことばかり考えていた毎日だったせいか、自分の身体に煩わされることへの違和感を何度も感じた。

産後、産褥パッドを24時間ずっとし続けていたら肌が荒れてしまい、少しでも肌に負担のないオーガニックのナプキンを選んだ。ずっと面倒くさそうで絶対嫌だと思っていた布ナプキンも、確かにいいのかもなと思った。同時に、紙オムツを24時間つけている子供の気持ちを擬似体験したような気にもなり、布オムツを導入したりしたのだった。

そんなおまたにまつわるエトセトラが走馬灯のように思い返される。産後って言ったって、もはや10ヶ月も前である。遠い遠い昔だ。意識を今に戻し、奥にしまいこんでいたナプキンを引っ張り出して使いやすい場所へ置く。面倒くささや億劫さばかり感じてしまうが、自分の身体に生殖機能が戻ってきたことは喜ばしいことだ。全然知らない世界への大きな旅を終え、いつのまにかぐるり一巡して、身体が私の元へ返ってきたようにも感じる。

0歳の我が子に、いつか来る初経のことをどう伝えてあげようかと考えながら、2度目の初経を慣れない手つきで過ごしている。