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宣告された日

仕事帰り、針生検の結果を聞くため、病院へ。
「悪性腫瘍ではないことを確定させておくために」と説明された2週間前。
多くの場合、癌なんてことはないわけで…という医師の言葉は、それもそうねという気にさせた。
その言葉のおかげで私は、乳房のしこりも乳頭からの血性分泌のことも、さほど気にせず日々を過ごせていた。

予約時刻を少しばかり過ぎて、名前が呼ばれ、扉を開いてから挨拶をした。
こちらが座るよりも前に「あんまり良くなくてね」と切り出した医師の言葉に、何をそんな大袈裟なと。思っていたところで、癌の宣告を受けた。こんなもんかと思った。

どこの総合病院に紹介状を書くのが良いか尋ねられ、医師の提示した候補の中から一番馴染みのある病院を選んだ。

帰り道、オーディブルの続きでハイデガーを聴くことは辞めておいた。
それよりも誰にどのタイミングでこの結果の話をするのがよいか、帰宅するまでには答えを出さなければならなかった。静かに考えたかったのだ。

夫には繋いでもらった先の総合病院の予約が取れた段階で。がん保険について、保険会社にも問い合わせてもらわなきゃならないし。
職場には具体的に仕事を休む期間の共有などが必要になったタイミングで。
親には、病院でのいろいろな検査結果が出揃ったタイミングで…かな。
子ども達にはどこまで話すのがベストか。
経済的負担の大きい末っ子の習い事をどうするか。
そういうことを考えつつ、乳癌について情報を調べまくる。
神経を尖らせている状態にあるせいか、まだ眠る気になれない。
とりあえず、今日のこと、今日思ったことを書き留めねば。
でも、明日も仕事だから、さすがにもう瞼を閉じよう。23時54分のこと。

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