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手からこぼれ落ちていくものがある。両手でお椀をつくって抱えていただけれど、入りきれなくてこぼれていくもの。たくさん水を飲みたくて、水をたくさん注いでも、手のお椀に入る水の量は決まっている。手のひらでつくれるお椀でしか受けきれない水。こぼれ落ちていく水はどんどん流れていく。手のひらですくえる水を飲んで喉をうるおそう。

歩いて歩いて歩いて、やっとの思いでゴールして、見えた景色の後ろにある道は、歩いてきた人にしかわからない。山頂から見える景色がきれいだとか、そうでもないとか。感じ方は人それぞれだ。その景色が好きだとか、好きじゃないとか、好きも嫌いも人それぞれだ。そういう世界に生きている。あの本が好きだとか嫌いだとか、偏ることの方が珍しい。

嬉しいとか、悲しいとか。言葉に揺れた自分の気持ちを、受け止めたい。行き場を失う言葉たち。小さなトゲから広がる痛み。感情の波が寄せては引いていく。静かに遠くへ、遠くへ。広い海に薄まり消えていくまで。

海がもっと精進しろよと言っている。

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