【417球目】当たり前の水準
人や会社にとって当たり前のことは異なりますよね。
当たり前とは、分かり切った言うまでもないこと、です。今日はそんなお話をしていきます。
SQCD
М&Aで数多くの企業を見る機会があります。そのほとんどが製造業ですので、製造業であればこのSQCDは共通して大切なことです。
S=安全
Q=品質
C=コスト
D=納期
この中で安全を軽視している企業はどうにもなりませんね。品質やコストについてもその企業独自のものですから、そこはそれぞれになってきます。
このD=納期についての考え方に驚くことがよくあります。
納期に対しての感性
私の納期に対しての感性は川崎重工で培われました。
入社して間もない頃、VN900という機種が立ち上がりました。1日の生産台数が100台ほどだったものが、立ち上がりの遅れで最大の生産台数が1日あたり300台まで増加。それに対して、一番しんどい時には、午前と午後に納品を分けさせてもらって、研磨が出来る人は自職場での仕事が終わってから当時の研磨職場である伊川谷工場へ集結しての作業が続いていました。
納期に対しての絶対的な責任感から生まれている行動です。
入社してすぐの出来事です。その当時の私はまだ20代です。
決められた納期をしっかりと対応していく責任感を学びましたし、納期は絶対であることを学びました。もちろん、本来であれば朝一に全数納入の必要があるのですが、厳しい時は調整をさせてもらって2回の分割納入も行いました。
それくらい納期については責任を感じながら今も仕事を進めています。
それが・・・・
何回も、納期遅延は当たり前、そんな話を聞きました。
慢性的に納期遅延なんです。そんな話が当たり前に出て来て衝撃を受けました。お客様の納期に対しては責任感を持つ。だからこそ、本当に無理な場合は事前に打ち上げを行い納期調整を行う。出てきた指示に対して、自社の能力と比較することはさほど難しい作業ではありません。
まずは自分たちの加工能力や組立能力がどの程度あるのかを把握する。
出てきた情報に対しての比較検討を行い、問題があれば即時打ち上げを行う。当たり前だと思っていました。いや、当たり前です。
ISOの取り組みをした時に、その要求事項に能力検討という項目がありました。
当たり前にやっていたことをルールとして文書化したことをよく覚えています。この考え方が当たり前ではないのか。三陽工業のGT製造部においては、当たり前です。それが他社では当たり前でなかった時に驚きしかありません。
M&Aにて
M&Aを実行した会社においても、そんなことがありました。当然、当たり前の水準を上げてもらいます。単価交渉や新規受注の話をさせて頂く際に、納期遅延は百害あって一利なしです。納期や品質、もちろん安全については何よりも最優先ですが、それらの当たり前を上げていくからこそ、適正なコストのお話が出来ます。当たり前の水準を上げていくからこそ、お客様に価値を提供することが可能になります。
お客様の期待を超えるとなると、その当たり前の水準は常に上げていく思考と行動が必要になって来ます。
これからも、その思考と行動を積み重ねていきながら、当たり前の水準を上げていきます。そして、そういった思考と行動が出来る人がしっかりとバランスを取りながら製造現場を元気にしていきます。
本日もありがとうございました。
明日もよろしくお願いします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!