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エレファントカシマシの歴史 Vol.1 『始まりもファイティングマン』

エレファントカシマシのファーストアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI』シングル『デーデ』と同じは1988年3月21日に発売された。そのファーストアルバムの完成度たるや恐ろしささへ感じる。アルバムのほとんどの曲が今尚演奏されそして進化を遂げている楽曲たちである。アルバム全体が一発録りである。故に心ゆくまでヴォーカル宮本浩次こと宮次、ギター石森敏行こと石くん、ベース高緑成治こと成ちゃん、ドラムスの冨永義之ことトミの演奏を聴くことができる。”完成された未熟”さそれがこのバンドの魅力でもあるだろう。画像2

1.『ファイティングマン』       

 CDを再生させて一番初めに聴こえてくるのはギターの石森敏行こと石くんの強烈なギターリフである。この曲の詩からエレファントカシマシが後に歩んだ道というものが決定されたと言っても過言ではないだろう。『自由』『正義』『力付ける』そう云った後に大切となるフレーズが散りばめられている。ライブでは定番の曲である。

2.『デーデ』                                                                                                                       

トミのカーベルから始まり石くんのそしてエレカシの特徴的なリフが入ってくる。このリフはエレカシが様々な楽曲で今日まで用いている。当時のバブル経済を皮肉る様な内容の歌詞である。この曲もライブの定番である。 ”金”は初期のエレカシの大きなテーマでもある。

3.『星の砂』                                     

このアルバムの中で一番最初に作られた曲だそうだ。宮本の政治観が如実に顕れている曲である。この曲の歌詞は実に過激であり後の打ち込みアルバム『Goodmorning』と通づるものがある。”日本の神を中心にして立派な国を築きたい”ここから宮本の政治感が窺える。バブル経済で浮き足立っている日本人と全く頼りにならない政治家を皮肉った歌詞である。この歌詞からは太宰治や三島由紀夫の要素を感じる。”星の砂”はとどのつまり地球の中でちっぽけな日本の更にちっぽけな我々日本国民を表しているのだろう。また”日本”や”民族”というモチーフは度々エレカシの楽曲の中に用いられる。この曲もライブの定番である。サビの”星の砂”手をヒラヒラさせる光景はもはや定番である。成ちゃんのベースが小気味良い。

4.『浮き草』                                         

 前曲までの曲調とは打って変わって割とゆったりとした曲調であり次のアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI II』の曲と通づる日々の積り行く鬱憤を直接聴き手に伝える様な内容である。

5.『てって』                                            

エレカシ及び宮本が今日まで追い続けている”自由”そして”陽気”さを追い求めてもがいている事がこの曲からわかる。EPICソニー時代のエレカシは『東京の空』以外”軽さ”言い換えるならば”ポップ”を徹底的に否定してきた。しかしそれは宮本自身がどうすれば軽く陽気に人生を生きて行けば分からなかったからであろう。この曲の歌詞には宮本が追い求めたく思っていた”陽気”が願望の様に現れている。

6.『習わぬ経を読む男』                

  エレファントカシマシ男シリーズのスタートである。『ファイティング”マン”』も男シリーズではないかと言われれば確かにそうではあるがこれは後に『戦う男』なる楽曲があるので正当な男シリーズではないと言って良いだろう。さて、この曲はエレカシメンバーが青春期好きであったRCサクセションの楽曲に非常に似ている。ファーストはRCの影響を大きく感じるが『習わぬ経を読む男』では特にこの曲は殊更である。「裁判所じゃbaby 死刑さきっとそうさ」は清志郎が叫んでいても不思議ではない程である。後半のキレ感が良い。

7.『BLUE DAYS』                       

強烈なエレカシ流パンクロックである。以前何かのライブ映像で宮本が石くんと肩を組んで熱唱している映像を見た事があったが実にカッコ良かった。日常の退屈さを地獄と形容している。この曲の詩は後の『暑中見舞い-憂鬱な午後-』に似た雰囲気を感じる。

8.『ゴクロウサン』                 

 ストレートなロック&ロール。ロックの基本的なメロディであるからこそ宮本の声の特徴をより感じる事ができる。成ちゃんのベースもカッコ良い。

9.『夢の中へ』                       

この曲の詩はは宮次と石くんの共作である。作曲も石くんである。全体的にゆったりとした曲調で後のエレカシの可能性を感じる事ができる。シングルとしてリリースされた『デーデ』のB面としてこの曲は収録されている。

10.『やさしさ』                  

EPICソニー時代のエレカシは殆どと言って良いほどラブソングというものが存在しなかった。この『やさしさ』は後のエレカシラブソングの始祖である。この曲はビートルズの『oh!darling』のメロディラインと酷似しているがあのメロディにすんなりと日本語を載せらるるということはいかなる曲でも壮大な詩を載せられる宮本の凄みといえよう。

11.『花男』                        

本アルバム最後に収録されている『花男』とんでもない名曲である。宮本の文学的な歌詞と石くんの力強いギターカッティング、成ちゃんの冷静で心地の良い低音、トミのパワフルなシンバル、全てが調和していて一切無駄がない。この曲もライブではど定番である。そして大いに盛り上がる曲である。

ファーストアルバムの解説は以上である。ロッキンオンの柴谷洋一が『ファイティングマン』を初めて聴いた時サザンオールスターズの『勝手にシンドバット』を聴いた時以来の衝撃であるとインタビューで答えていたがその理由は本アルバムを聞いてみれば自ずとわかることである。海外の音楽であるロックを十代の若者であった彼らが、しかも初めてのアルバムでここまで物にするということは正に重大な事件と言っても過言ではない。日本のロックに、いや音楽シーンにエレファントカシマシというバンドは流星の如く現れたのである。

こうして伝説は始まった。

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