【算数】バスの乗降問題。どのように整理する??
中学入試の題材としては意外と珍しい「バスの乗降問題」。珍しいので、「情報をどのように整理するか」を自分で考えさせるのに大変良い問題だと思いました。
【問題】バスの乗降問題
長くても3分以内に終えたい問題です。
【解答】意外とカンタン
問題文はとても複雑ですが、解法はとても単純です。問題文より、Cを出発するときには、BかCかで乗った人23人が残っています。Cで乗った人は12人と書いてあるので、Bで乗ってDで降りた人は23−12=11人です。
【解説】どのように可視化するか?
この問題はこの後、「Aから乗ってCで降りた人が○○人の時…」と続き、頭を使わせにきます。ただでさえ4か所ある上、特に「降りた人は元々どこで乗ってきたか」の情報が分かれるところが厄介です。どうにか整理したい。
さて、あなたなら、どんな可視化の方法を思いつきますか?
と、算数を学ぶ人には必ず考えさせたいところです。答えが見えることより、答えが見えていないときにどうハシゴを組むかの方が遥かに大切。また、頭が切れない人ほど、問題を整理する力が必要です。
【視覚化案①】表
2つの情報があるときは普通、縦軸・横軸がある表で整理します。ところが「どこから乗ったか」の情報が乗りません。23-12には気づきにくい。
【視覚化案②】表中表
表のセルそのものを表にして、ネストしました。「Cで降りる人」を「Aで乗った人」「Bで乗った人」に二分していますね。これで全ての情報を視覚に送り届けられます。
しかし・・・
例えば「Aから乗ってCで降りる人が20人のとき、Bで乗った人は何人ですか?」と問題が続くとしたらどうでしょう。「Aで乗った人が45人で、Cで20人降りたからBでは25人降りてて…」と、結局は想像の世界に逆走することになります。しかも、「Aで乗った」人数を「Bで降りる」「Cで降りる」の場所に割り振るのが疲れます。
【視覚化案③】線分図
表ではなく、図にすれば相互の影響をまとめて表現できます。これなら「どこから何人乗った」「どこで何人降りた」「何人が降りずに残っている」「全部で何人残っている」の情報が丸見えです。乗り↔降りの変換も、場所の変換も、目を上下するだけで分かります。「Aから乗ってCで降りた人が20人のとき、Bで乗った人は何人ですか?」も、論理を一切使わずに求められることが分かるでしょう。
【結論】思考力より整理する力を優先せよ
ということで【線分図の魅力】シリーズでした。実は「Aから乗ってDで降りる人」がもしいるといよいよ複雑になってくるのですが、この規模までの問題なら線分図が強いでしょう。数の範囲も表現しやすいです。
中学入試のこの手の文章題は、9割方「整理」さえできたら解けるのですが、能力が低い人に限って、手を動かす前に考え込んでしまいます。悩むだけで何も行動せずに言い訳ばかりの大人にしないため、試す姿勢を身に付けさせたいものです。
2023年9月9日
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