どうしたら式をちゃんと書くようになるのかしら。
どういうわけか、考えるときに「書く」ことをしない人が多くいます。なぜなのでしょうか?この記事では、未熟な学習者たちに「考え方を書くよう説得する」ための材料をいろいろ書きます。
前提:書くことは良いことである
書くことは、後で自分が見たり、別の人が見たりできるだけでなく、単に考えを整理するのにも大変役に立ちます。この記事も考えを整理しながら書きましたし、書いたからあなたが読めていますね。
書くことといえば、例えば・・・メモ、日記、議事録、契約書、企画書、台本、絵画、カルテ、小説…。大きく、広々と、カラフルに、読みやすく、紙、書き込み、箇条書き、表、マインドマップ、ノート術…。いろいろあります。
原因:そもそもなぜ書かないのか?
理解の問題
書くメリットと書かないデメリットを理解していないという理由。しっかり説明し、理解が難しければ、実体験をもって覚えてもらうのが良いでしょう。「自分が集中力を浪費している」感覚を意識させるため、その時を見逃さないようにしたいところです。
大人も同じです。無能な人は、大切な事ほど頭で覚えておこうとして、周囲に共有もしません。それで失敗すると、次はもっと注意すると言い出します。「忘れても大丈夫なようにする」ではなく「もう忘れないようにするから大丈夫!」です。負の連鎖です。気持ちの問題
書いたら間違えていることがはっきり分かってしまう、受け入れられないから消さなければならない、という心理。けっこうよくありますが、性格の問題です。生活全体の改善、もしくは諦めるのが良いと思います。
大人も同じです。「業務連絡はメッセージではなく口頭で言ってほしい」「ミスをしたら改善ではなく埋め合わせ」「結局向こうから何も言われなかったんだからこれで良かったじゃん?」自分のミスを徹底的に排除するため、記録を残すことから無意識に逃げています。能力の問題
字が上手く書けない子どもは多いです。気持ちが雑なのかも知れませんが、まるで大人が利かない方の手で書いたような字しか書けない人は大勢います。そう、本当に頑張っても字が書けない人たちがいるのです。筋肉か、眼か、脳の問題かは人によるでしょうが、早めに克服できればしましょう。全然消えない消しゴムとかもダメ。
伝え方の提案:「書いて忘れろ」
では、書くことのメリットについて、子どもにどのように説明しますか?
一般に、文字情報にすると「視覚的に分かる」「情報を長時間残せる」「持ち運んだり複製したりできる」「後から編集、補完できる」などの特徴があります。よって「復習できる」「質問できる」「どこで間違えたか分かる」などのメリットが生まれます。あるいは…
「書いたら忘れていい」
「覚えるために書く」の裏返しです。一般に、長く記憶するためには忘却と想起を繰り返す必要があります。覚えるためには、まず忘れないといけない。今書いたら次するべきことは忘れて、また書いたものを見ることだという論理。「忘れるために書く」
逆に、計算などは長く記憶していてはいけません。繰り上がりの数字を頭に置いておくメリットなど何もありません。1秒でも早く頭から情報を追い出すために書くのです。文章題のややこしい情報を、図や表に整理して機械的に処理できるようにすることも同様です。
特に試験のような場においては「急いでいるからこそ書く」べきです。時間制限と緊張によって頭の中に数字を置いておきにくくなるため、いかに頭の外だけで処理できるかが非常に重要です。問題の理解・解法の組み立て・処理・チェックという大きな作業において、処理は最低限の集中力で済ませて、チェックに頭を残すべきです。序盤の計算問題で無理に暗算するのは、マラソンのスタート直後に全力疾走するようなものです。試験のときは書くのだから普段から考えを書くことに慣れるべき、という主張です。
少し話を抽象的にすると「注意を奪う余計なものを頭から追い出し、必要なことに集中するという技術」の一環です。机を整理したり、スケジュールを決めたり、不安を消したり、健康でいることと同じです。書かないことは、集中力をドブに捨てている状態です。
行動の提案:ノートで復習させよ
当たり前ですが、書くことのメリットをうたうのであれば、子どもの書いたものを活用させるべきです。ノートを見るとよく分かることを理解させるべき。
補足:じゃあ何もかも全部書くのか?
それなりに算数力のある自分自身について検討したところ、式を省略する場面がわずかにあります。それは、書くことでむしろ煩雑になったり、思考が途切れてしまう場合です。平方数を次々に書くときに1×1=1などと書いたり、「Aさんは8日で仕事を終える」と見て1÷8=1/8と書いたりせず、左辺は省略します。
一方、1桁同士の足し算で答えが出る文章題や、三角形の面積を求める簡単な問題があったとしたら、必ず式を書きます。
つまり「大筋に関わらず、かつ簡単な計算のみ書かなくてもよい」というルールです。問題を解くために、大きく見て何をしているのかが分かりやすくなるようにするためです。そもそもの「書く目的」に合っていると思います。
逆に「丁寧に書き過ぎる問題」や「間違えを消さずに残すって絶対なのかな?」についても考えていきたいと思います。
2024年8月11日
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