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【算数】結局、ベン図なの??表なの??

以前、桜蔭中の集合の問題を線分図を利用して解いてみました。

上の記事では「個々の問題に合わせて最低限の図でOK」の方針で書きましたが、今回は反対に「どんな問題でも使えそうな汎用性のある図式化」を考えます。


【問題】(細かい設定は前の記事)

216人にA,B,Cの3つのアンケートを取った。
・AとBについて、A○B○=123、A○B✗=45、A✗B○=18、A✗B✗=30
・BとCについて、B○C○=119、B○C✗=22、B✗C○=39、B✗C✗=36
以上のとき、A○B○C○の最小値はいくつか。

桜蔭中 2023年(かなり抜粋)

AとCの集計を取ってくれていないところがかゆい問題です。

【整理案①】図:まずはベン図の批判から

ひとまず市販の解説にも多用される「ベン図」を載せておきましょう。この問題の場合だと、全ての数が境界線上に書かれます。

ベン図は表現としては完璧と思いますが、不慣れな人には、まず作るのがかなり難しく、作った後に使うのも難しいことが問題点です。ベン図は使うというより、できたものを表現するのに便利です。そろばんは「使う」ものであって「読む」ためのものでないのと同じです。

【整理案②】表:全パターンを表現するだけじゃダメ

使いやすいよう、表にまとめる試みです。受験生もこうするかも知れません。A,B,Cそれぞれについて○✗が分かれるため、3種の選び方は2×2×2=8通りあります。

これで、A,B,Cの選び方8種は全て網羅しています。ところが問題で与えられている、「B✗C○」などの「どれか2つに対してのもう1つ」が上手く表現できません(記号を入れ替えても不可)。一見正しいように見えて実は穴があるところに学びがあります。

【整理案③】表:まだ完全体になれないセル

上の方法を改良します。AとB、BとCの情報が与えられているので、変に工夫をせず、そのまま表にします。

前回書いた「A,Bの線分図」と「B,Cの線分図」を直角に並べるようなイメージです。全ての数を書き込めて問題は解けますが、実は・・・「AとCに当てはまる人の和」が表現できていません。重箱の隅をつつくようで心苦しいのですが。

【整理案④】表:こいつがナンバーワン

セルの中にセルジュニアをネストしてみます。どうせまた何か不備があるんじゃ…

最初に作った表と発想は同じですが、これなら不備なく、上手く使えます。数を入れるマスが27箇所もあり、どの2種の組み合わせについても合計が表現できます。また、例えばベン図では分かりにくい「B○」の合計なども一瞬で求まります。一見書きにくいように見えますが、ベン図よりもミスが起こりにくいです。記号を入れ替えても問題なし。

【整理案⑤】何これ?

全然違う形でも考えてみました。原生生物的な気持ち悪さがあります。

書くのが面倒ですが、情報を追いかけやすい利点はあります。どのくらい使えるのか未知です。

【結論】ひとまず表を書いていこう

以上の通り、ベン図より表で3種を表現するのがお勧めですが、これで上手くいかない問題があれば知りたいところです。個々の解法を暗記することよりも、未知の問題に対して、適切に整理する力の方が遥かに重要ですので、若い人達にはあれこれ練習してほしいです。
2023年10月15日


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