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【算数オリジナル問題】現場の痕跡から犯人像をプロファイリングします。

中学入試において、わり算のあまり(剰余)を利用する問題が多くなっている感じがしていますが、中学受験のテキスト類において見かけることがほとんどありません。ということで自分で作ってみました。↓

今回は第二弾。レベル55くらいです。解けなければ上の問題に避難してください。

◆問題
(1)A、B、C、Dは1以上の整数です。次の3つの式が成り立つとき、Aの最も小さい場合の数を求めてください。
A÷B=3あまり6
A÷C=4あまり6
A÷D=5あまり6

(2)同様に、Aの最も小さい場合の数を求めてください。
A÷B=3あまり6
A÷C=4
A÷D=5あまり5

(3)同様に、Aの最も小さい場合の数を求めてください。
A÷B=3あまり62
A÷C=4あまり71
A÷D=5あまり89

算数PLAYオリジナル問題

シンプルなのに、このタイプは見たことがありません。普通「ある数を5で割っても7で割っても3あまります。」のように、何で割るかは教えてくれますが、今回の問題では割る数は不明で、かわりに商が分かっています。現実世界でも、末端の現象しか見えていないことの方が多いですよね。

〓解説〓

手前味噌ですが、なかなか良い問題と思います。「3で割ったら2あまり、…」の問題と前半は同じで、新たに後半の思考が入ります。
※各問、やや工夫をしますが、書き出して求めることもできます。時間も大してかかりませんので全く問題ありません。むしろ自力で求めてから解説を見るべきです。

【解説(1)】
A÷B=3あまり6 より、A=B×3+6
A÷C=4あまり6 より、A=C×4+6
A÷D=5あまり6 より、A=D×5+6
つまり、Aは3の倍数、4の倍数、5の倍数それぞれに6を足した数。つまり3、4、5の公倍数+6なので、60の倍数+6。最小のものは66
※あまりが一致しているときは一律で取り除いてみるという定石を活用しています。

【解説(2)】
A÷B=3あまり6 より、A=B×3+6=(B+2)×3
A÷C=4 より、A=C×4
A÷D=5あまり5 より、A=D×5+5=(D+1)×5
よって、Aは3、4、5の全ての倍数なので、最小のものは60
※よくある、3「で」割る問題だと、6あまることはないので、この思考はできません。

【解説(3)】
与式より、A=B×3+62=(B+20)×3+2
     A=C×4+71=(C+17)×4+3
     A=D×5+89=(D+17)×5+4
よって、Aは「3の倍数に2を足した数」かつ「4の倍数に3を足した数」かつ「5の倍数に4を足した数」となります。ここで、もしAがあと1大きかったとすると、ちょうど「3の倍数」「4の倍数」「5の倍数」つまり60の倍数となりますので、Aは「60の倍数‐1」であると判明します。最小の数は59


…ではないですね。気づけましたか?
「A÷D=5あまり89」の式がありますが、Aが59だと89も余る訳がありません。あまりは割られる数より小さくなければなりません。では改めて、Aは「60の倍数-1」でしたから、59+60=119とすると「119÷D=5あまり89」です。よってAは119

…ではありません。上の式のときD=6で、119÷6=5あまり89となりますが、あまりは割る数よりも小さくなければなりません。ですからDを大きくしていくと(Aが60増えるごとにDは60÷5=12ずつ増えることを利用するとよい)、Dが89より初めて大きくなるのはD=90、A=539のときとなります。これで正解です。

※B>C>Dなので他の数も適します。また、(1)(2)でもB、C、Dのチェックは必要でした。

余談と余題

上の問題の体験から「割り算の式があるだけで一気にいろいろな性質が含まれる」という理解を得てもらいたいと思います。では余剰問題です。

問題:A、B、C、Dは1以上の整数です。次の4つの式が成り立つとき、□として正しい数を求めてください。
A÷B=70あまり77
A÷C=777あまり0
B×C=55877
(A+B-C)÷10=5588あまり□

算数PLAYオリジナル問題

副産物にしてはよくできました。解説を公開する予定はありませんので適当に遊んであげてください。
2023年11月16日

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