【経理の挑戦】エンジニアから経理へ。異色のキャリアを活かし、会社の未来を作っていく
Sansanでは、経理として働く人を応援するプロジェクト「経理にエールを」を推進しています。
全社を支える経理の頑張りや貢献を、もっと多くの人に知ってもらいたい。
経理がこれまで以上にやりがいを持って、いきいきと働ける世界をつくりたい。
「経理にエールを」はそんな思いで始まった、経理として働く皆さんを応援するプロジェクトです。
約半年間にわたり「経理の挑戦」をお届けしてきましたが今回が最終回となります。
最終回は、Unipos株式会社経営管理部 秋田佳祐氏に話を聞きました。
一度はエンジニアになるも、夢を諦めきれずに経理へ
ーまずは経理の仕事に興味を持ったきっかけを聞かせてください。
きっかけは高校時代に、公認会計士になりたいと思ったことです。世の中のお金の動きに興味を持ったのを機に、お金を扱う会計士の仕事に憧れました。大学でも会計学を専攻し、ダブルスクールに通いながら会計や経理の勉強をしていました。
しかし、大学時代に会計士になるのを諦めた私は、PCをうまく使えるようになりたいと思いSE(システムエンジニア)を軸に就職活動を始めました。会計とSEを仕事にしようと思い、生産管理システムの会社でキャリアをスタートさせました。
SEとして4年ほど働いた時に、どうしても経理や会計の仕事を諦めきれず、今の会社が経理職を募集しているのを見つけて転職しました。
ー実際に経理の仕事をしてみた感想はいかがでしたか。
実際に経理の仕事をしてみて、想像以上にコミュニケーション能力が求められる仕事だと思いました。勉強する時は、経理業務を行う上で必要な数字の全てが揃っています。しかし実際の仕事は自分たちで数字を揃えることから始めなければなりません。
他部署の人とコミュニケーションしながら数字を集めなければならないのは、勉強するだけでは身につかないスキルでしたね。
ー現在の役割を聞かせてください。
現在は経理チームのリーダーとして、経理業務全般に携わっています。ちょうど私がリーダーを務めるころに、ビジネス形態も大きく変わったため、同じ経理業務でも業務内容は大きく変わりました。
現在はSaaSサービスを展開している弊社ですが、コロナ前は広告代理事業をメイン事業にしておりました。広告代理ビジネスは、仕入れに対する手数料が売上になるため、計算も比較的単純です。しかし、SaaSビジネスとなると会社ごとに契約や計上ルールも異なるため、毎回チェックする必要があり業務も複雑になりました。
また、経理業務の他に法務の仕事も兼任しています。公認会計士の勉強をした際に法律の勉強もしたので、契約書を交わす際のリーガルチェックを任されています。
モチベーションアップにも、リラックスにもなるこだわりのコーヒー
ー仕事のモチベーションを上げるためのアイテムや趣味はありますか?
コーヒーですね。大学受験の時に、勉強の際にコーヒーを飲んでいたら、それ以来はまっています。いつしか自分で豆を挽いてコーヒーを淹れるのが趣味になりました。
休憩中も会社の近くの店でコーヒーを買って飲むのが日課になり、リラックスできるのと同時に仕事のモチベーションになります。最近は在宅で仕事をする日も多いので、家で自分でコーヒーを淹れることも多くなりました。
「売上=社会からのニーズ」と思うと会社の成長が嬉しくなる
ー愛着のある勘定項目があれば教えてください。
今のビジネスに転換してからは、特に売上が気になるようになりました。私たちのサービスは市場も競合も少ない新しいコンセプトのビジネスです。そのため、世の中に本当に価値があるかどうかが売上に現れます。
売上がしっかり伸びていると「社会に求められるサービス」だと確認できて、嬉しくなりますね。
ー会社が成長したことで、経理業務にも変化はありましたか。
会社が成長したことで顧客の数が増え、業務量が増えました。以前は顧客が少なかったので、一社ずつ数字をチェックしていたのですが、今では顧客が数百社もいるため一社ずつチェックすることが難しくなっています。
顧客の急増に対応するためにSaaSに特化した請求システムを導入しています。前例がない中で手探りで経理のルールを作っていくのは大変でした。
入社4年目に突然経理責任者に。社外の人を頼りながら成長してきた
ー経理の仕事をしてきて、大変だったエピソードを聞かせてください。
入社して4年目で体制の変更があり、経理責任者になったことです。経理業務は一通り覚えたものの、突然責任者として判断しなければいけなくなったのは不安でした。
まだまだ、知識や経験が圧倒的に不足していたので、業務委託の会計士さんなどに聞きながら、なんとかこなしていました。
ー入社3年目で頼れる人がいないのは不安になりますね。
実は1社目の会社で、2年目にプロジェクトリーダーが辞めて自分がそのままリーダーになった経験があったので、突然リーダーになったからといってそこまで焦ることはありませんでした。当時もパートナー会社のベテランの方などを頼りながらプロジェクトを進められたので、周りの力を借りればどうにかなると思っていました。
社内に頼れる人がいなくても、社外の人に相談しながら進められたので「なんとかなる」とは思えました。
ー知識不足だったとのことですが、どのようにインプットをしてきたのでしょうか。
導入しているシステム会社が、経理向けによくセミナーを開いてくれるので参加しています。法律が改正されたり、インボイス制度のように新しい制度ができた時にセミナーを開いてくれるので助かりますね。
また、SNSで仕事に関する情報を発信してくれる人をフォローしているので、時事問題などはそこでキャッチアップしています。今は勉強しようと思えばいくらでも勉強できる時代なので、インプットに困ったことはないです。
経理の仕事に許されない「ミス」をしないための意識とは
ー経理の仕事をしていて、テンションが上がる瞬間を聞かせてください。
開示業務が終わった時は開放感がありますね。他にも、数字が合わない時に、いろいろ試行錯誤して数字がピタッとあった時は、とても達成感を感じます。
会計の数字というのは、必ず合うようにできているので、合わない時は何かしらミスをしている時なんですよね。そのミスを探して数字が合った時は嬉しいですし、ミスが許されない仕事なので、いかにミスを減らせるか常に考えています。
ーミスをしないために意識していることはありますか?
根拠を大事にすることです。ケアレスミスなどは別にしても、ミスというのは基本的に理解不足から起きるものです。そのため、単に知識をインプットするだけでなく、しっかり自分の言葉で人に説明できるように心がけています。
また、開示の前には監査が入り、書類に対して監査法人から質問が来るのはわかっているので、書類を作りながら「どんな質問がくるか」「どう返答するか」を予測するようにしています。そうやって根拠を重視して書類を作っていると、ミスにも気付けるため、結果的にミスを減らせますね。
ーSEの経験が経理の仕事に活きていると感じることがあれば教えてください。
私は精算管理システムを開発していたため、単純に前職での知識が今の仕事に活きることも多いです。また、経理の仕事をしていても、精算管理システムの導入手順はSEの仕事とほとんど同じなので、ダイレクトにSEの経験が活きていますね。
特に、精算管理システムはSEの方にも利用してもらうため、SEとコミュニケーションしながら進めていかなければなりません。SEの経験があるからこそ、同じ立場で話を聞けますし、開発の知識があるからこそコミュニケーションも捗りました。
システムの導入に限らず、普段の経理業務もSEの仕事と同じようにロジカルシンキングが求められるので、似ている部分も多いです。私は理屈っぽい性格で、論理的に説明できることが好きなので、どちらも自分に向いている仕事だと思っています。
ーUniposのサービスは、メンバー同士で感謝や称賛を伝えあって、組織の風土づくりをサポートするサービスですよね。とても「エモい」サービスだと思うのですが、ロジカルなものが好きな秋田さんはどんな意義を感じているのでしょうか。
私自身が感情表現が苦手だからこそ、Uniposというサービスが非常に重要だと感じています。Uniposがあれば「ありがとう」や「すごいね」と伝えるのが苦手な人でも、気軽に気持ちを伝えられます。
私のように感謝や称賛を伝え合うことが重要だと思いながら、なかなか伝えられない人は多いと思うので、Uniposのサービスを広げることで、感謝称賛を伝えられる会社を増やしていきたいですね。
社内の数値を総合的に判断しながら経営に貢献していきたい
ーこれからの目標を聞かせてください。
最近、経営企画の人と一緒に仕事をする機会が増えてきたので、将来はもっと経営に携わる仕事ができるようになりたいですね。経営企画の方や取締役と話していると、まだまだ至らない部分を感じるので、成長の必要性を感じています。
特に、私がこれまでやってきた経営の仕事は、過去の数字をまとめる仕事です。一方で経営は未来を作っていく仕事なので、不確かなものに根拠をもって説明しなければなりません。これまでとは違ったスキルが求められるため、もっと精進していきたいです。
ー経営に携わるためには、どのようなスキルが必要だと思いますか。
コミュニケーションスキルです。これまでも様々な人に話を聞きながら数字をまとめてきましたが、特に経理では将来のことについて聞かなければなりません。将来について聞くのは、相手も不確かなことについて聞かれているので、過去のことを聞くのとは性質が全く違います。
そのため、どういう意図で質問しているのか、相手と認識を揃える意識がより必要になってきます。不確実な未来に対して、しっかりと情報を聞き取れるコミュニケーション力を磨いていきたいと思います。
ー最後に、経理として経営にどのように貢献したいか聞かせてください。
経理だからこそ、社内の数字を総合的に判断できると思っています。事業部サイドも数字は見ていますが、どうしても「利益」と「コスト」に集中してしまいがちです。つまり「売上を伸ばし」「コストを下げる」ことを優先してしまっているのです。
しかし、経営の効率を高めるには人やモノ、お金、時間、情報といった経営資源をいかに効果的に活用できているかといった視点が重要です。たとえば利益が昨対比2倍になれば事業サイドの方は喜びますが、もしも昨年よりも3倍の経営資源を投資していれば話は変わりますよね。
経理だからこそ、どちらの側面も見ながら総合的に判断できると思うので、会社がよりよい意思決定をできるよう貢献していきたいと思います。
ー本日はありがとうございました。
ー編集後記
約半年間に渡って連載してきた「経理の挑戦」は今回が最終回となります。
これまでさまざまな企業の経理担当者へのインタビューをお届けしてきました。
少しでも経理担当の方々のプロフェッショナリズムや想いが伝われば幸いです。
ご覧いただいた皆さま、インタビューにご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。
これからもインボイス管理サービス「Bill One」は、さまざまな企業で働く経理の皆さまを応援します。
【経理にエールを】
企業で活躍する経理へインタビュー「経理の挑戦」
【インボイス管理サービス「Bill One」】
【Unipos株式会社】