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三浦半島釣り魚図鑑(45) イシダタミヤドカリ

実はタイワンガザミを釣った日に、もう一つ釣果があった。パパが釣った大きなヤドカリ。今までにもヤドカリが釣れたことは何度かあったけれども、そのまま海に投げ返して終わっていた。けれど、この日のヤドカリはなかなか大きかった事もあって、持ち帰ることにしたらしい。

イラストはもう殻から出されたあとの、無防備なヤドカリの姿だけれど、実際にはこんな大きなサザエがいるのか、というくらい大きなサザエの殻に入っていて、さらにその殻にはたくさんのフジツボや海藻がもしゃもしゃと生えていたので、さながらぬしのようないでたちだった。

ヤドカリといえば、初夏の頃、磯で「タマ」と呼ばれる食べられる貝を集める時にも、スガイやイソニナ、イシダタミなどの貝を集めていると、それらの貝殻に宿借りしているヤドカリを捕まえてしまうことがある。そんな小さなヤドカリなんてほとんど殻なので食べる部分もなく、ハズレ、として捨ててしまうものだ。いずれにしても、食べようという気になったことがなかった。

でも、沖縄のほうで食べるというヤシガニはヤドカリの仲間だというし、もしかしておいしいのかも?という淡い期待も。

とりあえず、今回釣れたヤドカリが何か調べてみるけれど、ヤドカリも種類がたくさんあってなかなか難しいことがわかる。全体が毛深いこと、左手のハサミが右の倍くらい大きいこと、目の飛び出た部分が紫色なこと、脚が赤紫のまだら模様であることから、多分イシダタミヤドカリというやつっぽい。食べることはまれだけれど、食べられない訳ではないらしい。

前述の小さな貝、イシダタミと関係があるのかなと思ったけれど、名前の由来は脚に石畳のような模様があるから、らしく、関係はないようだった。

さて、ヤドカリを殻から取り出すことが難しかったので殻を叩き割って身を出したものの、中の渦巻き状の体はほとんど液体ではないかというくらいにぷよぷよ。しかも、やや身が臭い。ワタリガニなどと一緒に蒸したので、なんとなく臭さがカニにまでついてしまったようで失敗だった。

さて、実食。
ハサミは、毛深いものの、割ると中は普通にカニで、身質も毛ガニのような感じ。でも、ワタリガニを食べたあとだったからか、味はほとんどしないように感じてしまった。脚はほとんど身がないレベル。

貝殻の中に入っているぷよぷよ部分は、表面の薄い皮を割ってみると、渦巻きの内側が身、外側が内臓っぽい味噌っぽい部分になっていて、恐る恐る食べてみる。まあ、ほぼエビのような身と、かに味噌っぽい内臓。でも、やっぱりちょっと磯臭くて、肝心の釣って持ち帰ってきた本人も、体調が悪いとか言ってあまり食べなかったので、結局ほとんどニワトリのエサになってしまった。ヤドカリさん、ごめんなさい。

多分、何匹か集めて、塩茹でにしたりしたほうがおいしいかも。そして、カニと一緒には食べない方がいいかも。あまり食べられることがない、というのも納得だった。

それにしても、宿借りとはよく言ったもので、自分の殻は持たず、人の不要になった部分を家にして、それありきで生きるリサイクルの達人だというところはヤドカリを見習うべきだ。時には新しい家が見つからず、それが原因で成長できずに死んでしまうこともあるというから、戦略的に自前の殻を持つ方がいいのか、宿を借りるべきかは謎だけれども。


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