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三浦半島釣り魚図鑑(19) クサフグ

釣りを初めて間もない人でもきっと釣ったことがあるのがこちら、クサフグ。

かくいう私も、このお魚スケッチを描き始める前から、クサフグのことはよく見かけた。まずは、干潮の潮溜り。そんなところに取り残される魚は小魚がほとんどだけれど、たまに素早く泳いでる割に大きな魚がいるな、と思うとたいていクサフグで、がっかりということになる。

堤防釣りでもそう。お、強いあたりだ、これは何か釣れているな、とわくわくしながらリールを巻いてみると、クサフグである。プーッとふくれたり、ブーブーと鳴いたりする様子を見るのはかわいいけれど、やはりがっかり。

なんでがっかりかといえば、皆さんご存知のように、クサフグには、というかフグの仲間の多くの魚には毒があって食べられない。私も釣った魚はなるべく食べたいと思っているけれども、こればかりはリリースということになる。

フグ調理師免許を持っていなくても、自分で捌いて食べる分には法律上は問題ないというが、フグの毒にあたって死んでしまいたくないなら、ここは絶対食べてはいけない。針にだけ毒があって、火を通してしまえば毒の消えるゴンズイとは違い、クサフグの毒は加熱してもなくならない上に、死に至る強力なもの。

基本的には触るくらいは大丈夫らしいけれど、その手が目や口に入ると危ないというので、このスケッチをしたときも、あまり触らないように袋に入れて持ち帰り、スケッチした後は家の隅に埋めて成仏してもらった。それでも、通りがかりの猫が食べて死んでしまったらどうしよう、うちのニワトリが食べてしまったらどうしようと、ドキドキしている。というか、フグの毒って、どのくらいで無毒化されるんだろう。

いつまでもうちの片隅に毒が眠っているというのは嫌なものだし、食べもしないのに殺生してしまったことにも気が引けて、スケッチごときのために持ち帰ってしまったことを今は少し後悔している。

ちなみにクサフグの「クサ」は臭ではなく草。背中の部分の水玉模様が緑色の草っぽい色をしているからだそう。草みたいにどこにでもいる、ということかもしれない。この緑色がなんだかかわいくて憎めないような気がするのは私だけだろうか。

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