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音楽やいろいろ(最近)

最近フォークを聴いている。
夜中に部屋で一人聴いていると、だだっ広い草原にぽーんと投げ込まれるような気分になる。
要するに私はちっぽけだということが突きつけられるのだ。

直接的でシンプルな言葉が胸をめがけて降ってくる。
ささやかな痛みを噛み締める。

悲しいんだか嬉しいんだかさっぱり分からない。
別に夢とか希望とか期待だとかそういうものを歌ってるんじゃない。
しんみり悲しみに浸たったり、奮い立たったりするようなものでもない。
頭を冷やすという感じに近いと思う。

さあ、流れに乗り遅れたらお終いね
しっかりしてよ
余所見、余所見なんかするんじゃないよ
いや君は決して
この世の英雄なんかじゃない
ともすれば膝を折りそうな
弱い弱い生き物さ
だから口をつぐんで
心の窓を閉めて
誰かが近づいてきたら
何もかもわかったような面して
歩き続ければいい
どうにでもなるんだこれからは
悩む必要もないだろう
それほど価値のある者じゃ
ないと思うけれど

君は英雄なんかじゃない 斉藤哲夫


軸がぶれっぶれでよそ見ばっかりの私は、いつまで経っても掴めきれない気分とやらに翻弄されっぱなしである。
どうにかして安定させたいものだとつくづく思う。


それで、最近ジャックスのメンバーであった早川義夫さんの『ぼくは本屋のおやじさん』という本を読んだ。
書店と出版社のやりとりや、本の流通の仕組みなど、思ったよりも業界的なことが事細かに書かれている。
何より、早川さんのデリケートな感受性が文章のあちらこちらにみられて何だか心温まる良い本だと思った。
なんかそれわかるな〜っていうのがちらほら。

本が好きで本屋をはじめたわけなのだが、本よりも人間が好きでなければならなかったのだ。

ぼくは本屋のおやじさん 早川義夫


やっぱり部屋にひとりで篭り続けるのは寂しいし、孤高の人になれるほど強くはない。
だから、人と繋がっていたい。
でもその世界が優しくて居心地の良い場所であってほしい。
みんなが孤独を知っていて、程よい距離感がある、そんな場所。
きっと早川書店はそんな空間だったのだろう。
いいな、行ってみたかったな!


そういえば、この前そぞろ書房に行ってみたのだった(念願!)。
タコシェでたまたま手に取ったザジで心奪われたから…。

本当に入っていいの?ってな感じの古いアパートの入り口のドアを恐る恐る開き、階段をのぼる。その先の一室にひっそりそぞろ書房はある。思い切ってドアを開けばほっこり温かい空間が迎えてくれる。うわあなんて素敵なんだ、と思った。
たくさんの素敵なzine、写真集、本などをゆっくり時間をかけて見ながら、私はお目当ての鬱の本を手に入れたのだった。
壁には来店した人が悩みを投稿したりそれに返事をしたりするお悩み通信が貼ってあった。
お店の方も優しく柔らかい方で心がじんわり暖かくなった。
帰る途中、何だか感謝の気持ちが沸々湧いてきた。こんな心地よい空間を作ってくれてありがとうございますって思った。そしてずっとそこにあってほしいなと思った。

早川書店には行くことができなかったけれど、私にはそぞろ書房がある!
物理的には高円寺にあるけど、私の心にもある。そんな感じ。


そして私もいつかそんな風な空間を作れたらいいなと思う(結構本気かも)。


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