【コロナ対策・中小事業者向け】資金繰り表の作成
日弁連にて、新型コロナウイルスの影響を受けている中小事業者の皆様向けのYouTube動画「『コロナ倒産』を回避する!危機対応の資金繰り対策」が公開されています。
今回は、
第6回 資金繰り表作成のポイント(講師:宮原一東弁護士)
https://www.youtube.com/watch?v=gRqJESPPAAg
を視聴しました。
以下、私なりにまとめてみました。
1 どうすれば資金繰りを維持できるか
資金は、会社の血液です。
その資金繰りを維持するために、次のような手順を踏む必要があります。
ⅰ 資金繰り表を作成する
資金がどの程度不足するか、いつまで持つかを確認しましょう。これを行うことが大前提となります。
ⅱ 新たな資金調達
不足する資金を補うための方策です。
ⅲ 支出をとめる
資金不足に陥らないようにするための方策です。
ⅳ 専門家の助力
不明点があれば、できる限りお早めに弁護士や中小企業再生支援協議会などへご相談してください。
2 資金繰り表作成の必要性
資金繰り表の作成が必要である理由は、次の通りです。
ⅰ そもそも資金繰りの危機にあるのかを判断できない。
ⅱ いつまで資金が持つのかの判断ができない。
ⅲ 資金繰りの不足状況によって、金融機関とのみ交渉をすればよいのか、固定費の調整(一般業者)も必要になるのか、交渉の範囲を検討することになる。
3 資金繰り表の作成手順
普段から自社にて作成している資金繰り表があれば、それを活用すればよいです。
なければ、日本公認会計士協会近畿会が公表している書式を利用するという方法もあります。
資金繰り表ですが、まずは、約定資金繰り表(後ほど「改定資金繰り表」というものが出てきます。)を作成します。
約定通り返済していくと、いつ資金がショートするかを確認するためです。
約定資金繰り表の作成手順としては、①入金見込み表→②日繰り表(添付ファイル内に有り)→③月次資金繰り表(添付ファイル内には詳細版もあります。詳細版でも可)ということになります。
即座に資金がショートするわけでなければ、日繰り表の作成は省略することも可能です。
4 得意先別売掛金回収リストの作成
YouTube動画の解説の中では、「入金見込み表」の中で、特に掛けで商売をしている場合に作成するものを、「得意先別売掛金回収リスト」と呼んでいるようです。
これは、締め日、支払日、支払い方法(現金か、手形か)を得意先ごとに整理した表です(ひな形はYouTube動画をご覧ください)。
この表の入金額としては、新型コロナの影響を踏まえて、実際に入ってくる予定の金額を記入することになります。
5 入金見込み表作成の留意点
入金見込み表作成に当たっては、以下の点に留意する必要があります。
ⅰ 受注型でない事業者の場合
新型コロナの影響により、昨年同時期などと比べてどうなりそうかを予測して入金見込み額を記載します。
ⅱ 休業している事業者の場合
入金見込み額はゼロとせざるを得ません。
ⅲ 現金商売の事業者の場合
新型コロナの影響を踏まえて、どの程度売り上げが下がるのかを予測します。
ⅳ 売り上げ回復時期については、基本、保守的に
数か月先まで時間短縮、休業を継続しなければならないという前提で作成したほうが良いです。
ⅴ 手形割引業者の確保
銀行が手形を割り引いてくれればよいが銀行以外にも手形割引業者はあります。
審査は基本的に振出人の信用力によります。
ⅵ 高利のファクタリング業者には注意
ⅶ ほかに、換価可能な遊休資産は無いかを検討する
6 支出を入れて約定資金繰り表が完成
支出については、約定通りの支出額を記入します。
資金繰りを予測するためのものなので、できる限り正確に記載する必要があります。
約定資金繰りができると、資金がいつまでもつのか、持たないかが見えてきます。
定資金繰り表のままでは資金繰りが持たないのであれば、何らかの支出抑制・応急措置を検討しつつ、改定資金繰り表を作成することになります。
7 改定資金繰り表作成の留意点
ⅰ 収入の欄は、原則、約定資金繰りと同じにする。
ただし、雇用調整助成金等を加味する必要があります。
ⅱ 信用不安を惹起させない支払先から猶予を検討していきます。
8 支出抑制の検討
このようにして作成した資金繰り表を踏まえて、必要な程度の資金調達や資金抑制策を取ることになります。その内容は、
で触れたとおりですので、もしよろしければご覧ください。
記事をご覧いただきありがとうございました。
もし私にご相談いただけるようであれば、下記リンクを通じてご連絡ください。