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【相続】相続税の計算の流れ

 上級相続診断士の試験を受けるために、付属の講座を受講しました。
 これまで相続税の計算の流れは到底覚えきれないと思っていたのですが、そのテキストの内容と講師の先生の説明がよくまとまっていて非常にわかりやすかったので、私も簡単にまとめてみます。
 私の試験対策上必要になったトピックだけを挙げており、すべてのトピックを網羅できているわけではありませんのでご注意ください。

 目次をご覧いただいて流れをつかんでいただき、若干の解説については本文をご覧いただくと良いと思います。
 また、誤りがあれば教えていただきたいです。

1 総遺産額

 ⑴ 本来の相続財産

 民法の規定に従って相続等により取得する財産。

 ⑵ みなし相続財産

 民法上の相続財産ではないが、相続税の課税対象となる財産。死亡保険金(契約者が被相続人のもの)と死亡退職金

 ⑶ 本来の相続財産+みなし相続財産=総遺産額

2 課税価格(の算出)

 ⑴ (-)非課税財産

 ア 死亡保険金の一部
   非課税限度額=500万円×法定相続人の数
   ※法定相続人である養子の数の制限
    法定相続人に含めることのできる養子の数は、 
   ・被相続人に実子がある場合:1人
   ・実子がいない場合:2人
   ※養子の数の制限の例外
   ・特別養子
   ・連れ子養子(配偶者の連れ子を養子にする)
   ・代襲相続人を養子にする
   ※相続放棄があった場合も、無かったものとして法定相続人を想定

 イ 死亡退職金の一部
   非課税限度額=500万円×法定相続人の数

 ウ 弔意金等
  ・業務上の死亡
   死亡時の普通給与×36か月分
  ・業務外の死亡
   死亡時の普通給与×6か月分
   これを超える金額が死亡退職金として取り扱われる

 エ 墓地、仏壇、仏具

 ⑵ (+)相続時精算課税による贈与

 ⑶ (-)債務

 被相続人の債務として相続開始の時に確定しているものを差し引く

 【控除できる債務】
  ・借入金
  ・未払医療費
  ・未払の所得税、住民税、固定資産税等
  ・アパートの預り敷金

 【控除できない債務】
  ・墓地買入未払金
   ∵墓地が非課税財産なので
  ・団信付きローン

 ⑷ (-)葬式費用

 【控除できる葬式費用】
  ・通夜費用
  ・本(密)葬費用
  ・葬式前後に生じる通常必要な費用
  ・死体の捜索、運搬費用

 【控除できない葬式費用】
  ・香典返礼費用
  ・法会費用
  ・遺体解剖費用

 ⑸ (+) 相続開始前3年以内の贈与

 生前贈与加算
 相続または遺贈により財産を取得した人が(対象者限定)、被相続人から相続開始前3年以内(期間限定)に贈与により財産を取得したことがある場合。

 ⑹ 以上をもって課税価格が算出される

3 課税遺産総額(の算出)

 ⑴ (-)遺産にかかる基礎控除額

 3000万円×600万円×法定相続人の数

 養子の数の制限あり
 相続放棄をした者がいる場合も、相続放棄が無かったものとして法定相続人をカウントする

 ⑵ 基礎控除により課税遺産総額が算出される

4 相続税の総額

 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分通りに分けたと仮定して各人の相続税額を計算。
 それらをすべて合計して相続税の合計額(相続税の総額)を算出する。

5 各人の算出税額

 相続税の総額×実際に取得した財産の課税価格/課税価格の合計額

6 各人の納付税額(の算出)

 ⑴ (+)相続税の2割加算

 「被相続人の配偶者及び子(代襲相続人となった孫等を含む)、父母」(大雑把に言うと一親等)以外の人が財産を取得した場合、2割増。

 ⑵ (-)贈与税額控除

 相続開始前3年以内の贈与に関する支払い済み贈与税額の控除。
 ∵二重課税の防止

 ⑶ (-)配偶者の税額控除

 婚姻期間の長短に関係なし。
 配偶者が相続放棄しても、遺贈により財産を取得した場合には適用あり。

 配偶者の法定相続分と課税価格1億6000万円のいずれか大きい金額までの財産を相続しても相続税はゼロになる。

 ⑷ (-)未成年者控除

 控除額=10万円×(20歳-未成年者の年齢)
 ※未成年者の年齢について、1年未満の端数は切り捨て
 ※令和4年4月以後は18歳(成人年齢引き下げ)

 ⑸ (-)障害者控除

 控除額=10万円(または20万円)×(85歳ー障害者の年齢)
 ※20万円の適用を受けるのは1級又は2級の障害
 ※障害者の年齢について、1年未満の端数は切り捨て

 ⑹ (-)相次相続控除

 10年以内に再び相続が発生した場合

 ⑺ (-)外国税額控除

 在外財産について外国の相続税が課税されいている場合

 ⑻ (-)相続時精算課税分の税額控除

 ⑼ 以上をもって各人の納付税額が算出される


 いかがだったでしょうか。
 複雑に感じるかもしれませんが、別の試験で読んだことがあるテキストを見返すと、やはりもっと複雑な構成になっていました。
 最後は気合で覚えるしかないのかもしれません(笑)

 記事をご覧いただきありがとうございました。


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