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【相続】相続対策の考え方(導入編)

 最近、相続でお悩みの方が多くいらっしゃいます。
 今回は、相続対策の考え方の入り口の部分をご説明します。

1 検討すべき相続対策の柱

 相続争いというと、資産家の話かと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
 平成30年の司法統計によれば、家庭裁判所における遺産分割事件のうち、遺産の価額が5000万円以下の事件は、76.2%も占めています。
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/738/010738.pdf

 例えば、実家住まいの長男と離れて生活をしている次男とで、3000万円の自宅不動産と1000万円の預貯金を分けようとすると、公平に分けることは困難ですよね。資産家でなくてもこのような場合、相続争いが起きることがあります。
 このように、誰もが相続対策を検討すべきであると言えます。

 そして、相続対策は、「相続税対策」と「遺産分割対策」の2つに分かれています。

2 相続税対策

 現在、相続税の基礎控除額は、

3000万円+600万円×法定相続人の数

です。

 ざっくりとこの金額を超える財産が有るようであれば、相続税対策をする必要があります。
 相続税対策の方法は、大きく3つあります。

① 財産の評価引下対策

 市場における時価が同じであっても、相続税における財産評価の方法は、財産によって異なります。
 例えば、現金はその金額によって評価しますが、土地の価格は路線価(公示価格の8割程度)や固定資産税評価額(公示価格の7割程度)で評価されます。
 このように、評価方法が財産によって異なりますので、手持ちの財産の状態を変えて、財産全体の評価額を下げることで、相続税額を下げるという対策があります。

② 財産の移転対策

 生前贈与や、将来評価額が上昇しそうな財産の贈与について「相続時精算課税制度」を利用するなどの方法です。
 あらかじめ財産を移転しておけば、遺産を構成することになる財産が減少しますので、相続税額も下がります。

③ 納税資金の確保

 以上は相続税額を減らす方法でした。
 対して、生命保険金や死亡退職金を利用して、納税資金を確保しておくという方法もあります。

3 遺産分割対策

 相続人が2人以上いるようであれば、将来、遺産分割時に家族間で争いごとが起きないよう、手当をしておいた方が良いです。
 その方法をいくつかあげます。

① 遺言書の作成

 ただし、法律的には遺留分というものに気を付ける必要があります。

 また、心理的な問題として、不公平な内容の遺言書を作成することで家族間がぎくしゃくしないよう、どのような理由で遺言書の内容を決めたのか、生前伝えておいて了解を得て置いたり、遺言書に記載しておいたりすると良いです。

② 遺産分割が容易な財産状態にしておく

 財産のほとんどが不動産であると、遺産分割は困難です。なお、不動産を共有にしてしまうと、二次的な紛争を招くことがあるのでお勧めしません。
 生命保険を活用するなどして、金融資産を増やしておいた方が良いでしょう。

 そのほか、最近では任意後見制度を利用したり、家族信託(民事信託)を利用したりする方もいらっしゃいます。

4 最後に

 以上、相続対策の導入部分について、ごく簡単に記事を書きました。

 その他、何か取り上げてほしいトピックがあれば、コメント欄にご記入ください。ただし、必ず取り上げるわけではありません(笑)

 もし、私にご相談くださる方がいらっしゃれば、下記のリンクを通じてご連絡ください。

 記事をご覧いただきありがとうございました。

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