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南丹「農」人 にインタビュー No.1「サツマイモ農家 吉田宙斗さん」

こんにちは!
新年度や新学期、新たな出発をされた皆さんはお忙しくされているでしょうか。
田畑では、新しい年の準備が本格的に始まり、南丹の里山では春の山菜や野草たちが楽しめる時期です。
 
さて、このブログでは、南丹市で多様な形の“農”に携わる人たちの紹介を始めていきたいと思います。初回となる今回は、移住後に新規就農をされた吉田宙斗(ひろと)さんへのインタビューです。
この南丹市参農サポートセンターで相談員としても立ち上げからかかわってきた吉田さん、どんな“農”を実践しているのでしょうか・・・
 
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吉田宙斗さん(28歳)
南丹市地域おこし協力隊 第5期隊員(2019年9月~2023年9月)
吉田農園経営(2020年、南丹市美山町にて起業)
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Q.どんな経緯で南丹に来られたのですか?
兵庫県尼崎市出身で、生まれも育ちも下町、祖父母の世代から下町暮らしなので、田舎とか農業というのはまったく無縁の場所で育ってきました。
そこから会社勤めの中で2年間、農業にかかわることになり、退職後、南丹市の地域おこし協力隊に採用されたことがきっかけで南丹市美山町に移住をし、就農を果たしました。
無計画・無頓着・思いつきで移住の暮らしにも飛び込んだので、当初は就農に関してもまったく興味がありませんでした。
 
Q.なぜ、サツマイモ農家になったのですか?
自分に出来る作物がサツマイモくらいしかなかったからです。
比較的簡単に栽培でき、比較的高単価で販売できる野菜類として、僕にはうってつけでした。
現在、サツマイモ農家として就農4年目です。


 
Q.就農して苦労したことは?
現在、吉田農園は1ha規模で甘藷/サツマイモの生産を行っており、ようやく家族を食べさせることができるくらいにはなりました。苦労したことはたくさんありますが、主に2点、①経営計画と②情報の取捨選択について、を上げたいと思います。
 
①    経営計画
いきなり夢のない話をするのですが、小さかろうと大きかろうと、事業を営む上で金銭的なやりくりは必要不可欠です。
それは農業でも変わりなく、1㎡の家庭菜園でも種代・肥料代・農薬代が必要なように、1,000㎡ではその1,000倍の経費が必要になってきます。
就農4年目になるころでも全く金銭的余裕はなかったです。売上があっても、ほとんどが来年の経費に消えていくという、自転車操業地獄でした。
では、なぜ僕がこういうことになったか考えた時、計画性が皆無だったからだと今はわかります。
事の大小を問わず、何かをしようとする時は絶対に計画は必要不可欠です。
何をいまさら当たり前のこと言っているんだという方もいらっしゃると思いますが、僕を含め、新規で就農する方は絶妙にこれが足りていない方がめちゃくちゃ多いと思うのです。
 
農業なんて計画通りにいかないんだから、計画なんて立てなくてもいいという方もいますが、立てる立てないでは前準備や後始末の段階で雲泥の差を生むと実感しています。
 
計画をたてるからこそ、今必要なものやそれに関わる必要な金銭がわかりますし、たてた計画を見直せるからこそ、何がうまくいって何がうまくいかなかったのかを知る事ができます。
金銭的な問題を解決したいのであれば、何に経費を使い、何が売上に貢献したかを知り得る経営計画の作成は必要ということを実践の中から学びました。
 
 
②情報の取捨選択
僕は非農家出身で、尚且つ農業学校とかそういう専門教育を受けてきたわけではありません。まったくの素人で農業を始めたものですから、知識なんてまったくありませんでした。
ただ、自慢したいのは、他の農家さんに聞いて吸収しようという強い向上心だけはありました。就農して2年~3年の内は本当に様々な農家さんに聞いて回りました。
 
そして、教えてもらったたくさんの情報のどれとどれを取捨選択するかという能力は本当に大事だと感じています。
しかし、経験の浅い新規就農者にはそれも結構難しい・・・ということもあります。
ネットや本で見る、栽培に関する論文や自治体レベルで発行している栽培体系も有効な情報だと思いますが、いわゆるネットや本の情報は誰でも調べようと思えば調べられるものです。
よりよい作物の栽培や経営の改善を目指したいのであれば、やはり、他の農家さんと交流を通じ、本当に応用できる生きた情報を掴んでいくというのも、知識や経験を積んだ後は大事だと思います。
 
Q.今住んでおられる地域にはどのようになじんでいきましたか?
最初、僕はこれが本当に下手でした・・・。
気にするべきことを気にせず、気にしなくていいことを気にして、自分もストレスですし、地域にとってもストレスだったのじゃないかなと思います。
最低限集落の決まりを知り、なぜそれが必要であるかを理解していくことは、農に関わっても関わらなくてもまず重要な第一歩です。
 
また農業を生業として営農していく場合、地域の農地を守っていくことなど全体のことに関わっていくと同時に、自分の経営の部分とのバランスをどうとるのかが、とても大事だと思います。
必要なのは、互いに互いの価値観を尊重し合い、押し付ける事をしないということだと思います。
 


Q.今後の展望は?
これからは自分のこともさることながら、後進の育成にも励んでいくつもりです。
事業体としてまず強くなる(例えば法人化)ことを大前提に、都会から社員登用などを行い、後進育成をしていきたいです。
農業事業だけでなく、昨今不足している甘藷苗の栽培及び供給を行い、丹波地方で生産された甘藷を自社で買い取り、それらを加工して販売するという貢献事業も行っていきたいと思っています。
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初めての農業経営から軌道に乗るまでの経緯をぎゅっとまとめてお話いただきました。
吉田さんは3月で参農サポートセンターの相談員を卒業され、農園の経営に専念されています。
吉田農園さんの様子はこちらのウェブサイトにてご覧いただけますので、一度覗いてみてくださいね。
「京都美山吉田農園」 https://r.goope.jp/yoshida-farm/ 
吉田さんありがとうございました!
 
記事担当:参農サポートセンター相談員 ドワイヤーはづき
 
 

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