Don't Look Upの感想(ネタバレあり)

このまえNetflixでDon't Look Upを観た。24時に。

寝れない〜〜〜。観たあと全然眠れなかった〜〜〜〜。
どうして寝る前に映画を観てしまうのか、私は…。

映画を観たあとは大抵、交感神経がHigh & High (LDH)になるので、
就寝前は控えるようにしているのだけれど、
それでもたまに、自室でレイトショーをやってしまう。
夜は時間がゆっくり流れている(気がする)し、落ち着くから…。

今回はDon't Look Upを観て記憶に残った場面や、
強めに湧き上がってきた感想について書いていきます。

(この下、ネタバレありのレビューを含みます。
まだ観ていないという人はここで閉じてください)
↓↓↓











おもしろかった!

まず何がなんでも先に触れておきたいのは、レオナルドディカプリオが見事に演じてみせた”セサミストリートとかに出てる著名人”の棒読みシーン。
なんという高解像度の演技なのでしょう。めちゃくちゃ笑った。
(関連:JoshinのCMに出てる棒読みの野球選手、コナン映画の子役、AflacのCMの櫻井翔)


それはさておいて、想像していたよりも作品自体の政治的なメッセージは少なめというか、
そこが主軸ではなかったのが少し意外だった。
(ネタバレを受けたくなくてあまり調べてはいなかったけど、なんとなく政治の話だと思っていた)

政治家や大企業などの、強大な権力について批判的に描いてはいるけれど、
作品の骨となっているのは、共和党 対 民主党や、保守 対 リベラルなどといった、政治・思想の対立構造ではなく、
むしろ接近する隕石を前に政治イデオロギーとか言っている場合ではないだろと、市民の生命を守るために奔走するも結局政治が障害となってしまう、中立派の学者たちの汗と絶望だ。
そして、学者と政府・マスメディアの協力や対立、市民に関する描写の中で、近年のアメリカ政治や、社会の中で加速している”分断”について描かれていた。

天文学を研究する大学院生のケイト(ジェニファー・ローレンス)が大統領に向かって「私はあなたに投票していない」と言い放ったあと、
それでも人類を救うために最大限協力しましょう、と伝えるシーンがある。
一方で、市民にスポットを当てると「彗星衝突を信じるか、信じないか」という判断はいつの間にか「どの政党を支持するか、しないか」という政治的な信念にスライドしてしまう。

最近のコロナ禍において(アメリカでは特に)医学的に考えればマスクはつけた方がいいと決まっているのにも関わらず
「マスクをつけるか否か」の判断に、医学とは関係のない政治的な信念が絡んでしまうという問題が生じているが、まさにこれだと思った。
”政治の話=タブー”という空気感がいまだ残る日本に住んでいる身としては、政治の話を比較的オープンにしやすいアメリカの雰囲気はうらやましく感じる反面、
しっかりとした思想を持ち、同じ思想同士でコミュニティを作っている場合、
コミュニティ内での同調圧力が誤った連帯を生んでしまうのかもしれない、と感じた(想像で言ってます)。
環境問題についてもそうだけど、こうした「科学の話題」と「政治的思想」をいかに切り離すかは、今後も大きな課題になりそうだ。


学者が政府に協力を仰ぐけど、政府は別のことでも忙しい、
また学者と政府がやっと「みんなに彗星衝突の危機を伝えよう」と手を取り合っても、足並みが揃わず、結局いざこざが起きる…という場面を見て、
1月5日、YouTubeにアップされたTBSラジオ「荻上チキ・Session」のインタビューで、尾身会長が話していた内容を思い出した。

このインタビューで尾身会長は、政府と専門家では見ているところが違っていて、
「政府は国全体・経済。我々は感染を早く抑えたい。そこには当然考えが違うときが時々ある」と説明している。
考えが違うということは、もちろんそこには丁寧な議論が必要とされるわけだけど、政府が専門家に相談することなく勝手に色々な決断を行ってしまうという、まさに我々が現実世界で体験した出来事も作中では描かれていた。
そしてどれほど生命を脅かす状況になったとしても、専門家には大きな数の市民を動かせるだけの力はない。結局は、政府の判断にかかっているのだ。
映画の方が大げさな展開とはいえ、かなり生々しく感じられて怖かった。

他にもあるような気がするけど、ぱっと思いついた感想はこんな感じかな…。みんなで最後の晩餐を食べるシーンも好きだった。
彗星がついに地球に衝突し、その衝撃波がだんだんと伝わってきて机が揺れる、「いよいよか」と恐怖心を抱きつつも、机の揺れを手で押さえ、とりとめの無い話を続ける。このシーン、現実でも本当にありそう。ありそう……。
地球滅亡の瞬間のことを想像してみると本当に怖くなるので、このあたりでやめておく。

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