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とあるアイドルの発言が世界を揺るがす(短編・毎日小説・9/5)

小説部分


炭坑男になればモテる。


2020年にそんな噂が日本中を駆け巡った。
超人気女性アイドルが『昔の炭坑で働く男たち』という映像を見て、
「泥まみれ・汗まみれになって働く男性って男らしくてかっこいい。細マッチョなのも、たくましくてカッコいい。」
という発言をキッカケにネットが荒れ、『炭坑男がモテる』という結論に至った。

すでに日本では炭坑での働き口が多くなかったため、日本中の若者男児が炭坑での働き口を求めて海外に散らばって行った。
そのため、日本での働き手が急激に減り、日本の人口比率が大きくグラついてしまった。

日本中から若い男性がいなくなったことで、結婚率は落ち込み、年金バランスも傾き、日本沈没が囁かれる自体となったことを不安視した政府は、老人女性など働かないことを選択できた人たちも強制的に働かせる政策を取った。

また、海外諸国からの働き手を募ったことで、日本にいる人口の半分以上を外国人が占め、結果として、純血の日本人は30年後には地球上では希少人種へとなってしまった。


一方、日本の可愛い女性にモテたいという下心を丸出しに世界へと飛び出して行った日本男児たちは、過酷な肉体労働を通じて、どんどん逞しくなっていき、肉体だけでなく精神面でも男らしさを増していった。

人に対して優しく、思いやりを持ち、清潔感もあり、そして逞しい肉体を手に入れた日本男児たちは各国の女性陣たちからモテ出した。その結果、日本男児たちは各国の美女たちと結婚し始め、世界中に日本人の血を広めていった。


2020年、日本で絶大な人気を誇っていた女性アイドルが発した何気ない一言によって、2050年には地球上の人口勢力図が一変してしまった。

世界中に日本人の血が混ざったことで、省エネ・質素な生活が浸透していった。その結果、石炭を始めとした化石燃料の消費量が大幅に減り、温暖化が心配されていた地球は救われる形となった。


『炭坑で働く男性はカッコいい』

自分自身の何気ない一言が将来、地球を救う事になることを、この女性アイドルはまだ知らない。

クリーンコールの日の由来

通商産業省(現在の経済産業省)の呼びかけにより、日本鉄鋼連盟・電気事業連合会・日本石炭協会等8団体が1992年に制定。
「ク(9)リーンコ(5)ール」の語呂合せ。

エネルギー源としての石炭のイメージアップを図り、ほかの化石燃料に比べて二酸化炭素の発生量が多い石炭をクリーンなエネルギーとするための技術開発に取り組んでいることをPRする日。火力発電所の一般公開等が行われる。

注意事項

この作品はフィクションです。作中に出てくる人物や固有名詞などは一切、現実のものとは関係ありません。

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