3月の帰省(1)〜前日の夜

27日。これから帰省をするから、先輩から買い取った銭湯の券を消費しないといけない。使用期限は3月末日までという。同期のみっきーが台湾人との二条城ツアーから戻ってくるかなと思いながらも10時過ぎに銀山湯に行く。
この日は靴箱の18番が空いていた。先輩に数年前に亡くなった父親について詳しく話したせいで、湯船に浸かっているときもお父さんのことについて考えていた。いつものように頭の中で少し話しかけたりするが、いつも以上に複雑な感情。話したエピソードで、あ、そうじゃなかったわという気づきもして、ちゃんと覚えとけよな自分!と喝を入れる。もしかしたら暖簾をくぐるときも若干神妙な面持ちをしていたかもしれない。
そんな感じだが、いつもと変わらぬルーティーンをこなす。頭と体を洗い、電気風呂の横の温度が高い方の湯船につかる。身体が温まると水風呂の水をかけて表面を冷やし、タオルを濡らし、サウナへ入る。最初はなかなか長くは入っていられない。今日は入れ違いつつも若い先客がいる。うまくタイミングをずらせたらいいなと思いつつ、きっと相手もそう思っていたのだろう。最後まで大して被ることはなかった。サウナ、水風呂、座ってぼーっとして水を飲む、このセットを3つこなし、最後は初めと同じ湯船で体を温める。少しぬるめの薬草風呂には入らず終わった。

身体を拭いて脱衣所、体重を確認すると前回より1キロだけ減っていた。なんとなくそんな気がしていたから、自分の感覚も頼りになるものだと思った。20円でドライヤーをし、タオルを番台に返して失礼する。

銭湯はいい。湯船につかるとき、サウナで整うとき、何より銭湯帰りの道は格段に気持ちがいい。風が心地よく、さわやかに堂々と信号待ちをする自分に酔う。

ドラッグストアに寄って、試供品の化粧水を拝借。せっかくなので美容液なんかも使わせてもらう。ええ、ケチでしょう。タチが悪いでしょう。でもせっかくの銭湯上がり、顔を乾燥させないでいられるのなら使ってしまいます。

研究室に戻り、みっきーがいた形跡を確認。銭湯券がなくなっているのできっと同じく銭湯に行ったのでしょう。少しすると彼女も戻ってきた。それにしても入れ替わりだな。流れで研究室で寝ることに。といっても翌日は6時台の京都駅発の電車に乗りたい。4時半にはアラームをセットして、マットを敷いて就寝。みっきーは中国に帰国した先輩が残して行った折りたたみベッドで。


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