身体障害者手帳を片手に「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」行ってきました。
平日も休日も、どこから人が湧いてくるのだろうかとびっくりするくらい清澄白河に人が集まるようになったのは、「クリスチャン・ディオール」の展覧会が行われているから。地元仙台のお友達も、このためにわざわざ上京したというので、これは見ておこうとお散歩ついでにのぞいてきました。
今回の展覧会も身体障害者手帳の提示で、予約なし・いつでも無料で入場できるので、ありがたく利用させてもらいました。今回は本当に人がたくさんいたので、夕方の閉館間際の時間を狙って3回に分けてゆっくりと。毎回見たいポイントは違かったのに、それぞれ2時間ちょっとずつかかったので、本当にボリューミーな展示でした。
概要
パリ装飾芸術美術館での成功に続き、ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展がついに日本へ。とにかくホンモノのドレスがたくさん並ぶ会場は、圧巻モノでした。
全展示写真撮影可能なので、映え写真を撮ろうと着飾った女性たちがたくさんいました。撮影のマナー云々もまた、問い直されていた展覧会。自分じゃなくて作品が主役だよってところは、共通認識として持っていたいよねぇ……とは思います。東京の展示は、どれも人が多すぎるからなかなか難しいところだけれども。
会場にいるだけでプリンセス気分
まぁでも、会場全体として映えが意識されているんだろうなぁっていうとにかくかわいらしい世界観で。そこにいるだけで、思わずうっとりしてしまうような空間でした。
女の子の憧れみたいなアイテムたちの数々。本当に本当に夢のような空間でした。この会場を歩いているだけで、プリンセス気分を味わえてしまえるもの。
日本最初に進出した西洋ブランド
これはもうわたしが完全に無知だったのですが、ディオールって日本に初めて進出した西洋ブランドなんですって。ということもあって、百貨店や日本のバイヤーたちがディオールの研究をした形跡もたくさん残されていて。
未知のものを学びたいという好奇心の塊のようなメモたちが、とてもとてもおもしろかったです。友達のノートをのぞくような。新しいことを吸収したときの喜びとか興奮とか、メモの字が踊っているのってすごく好き。
写真家高木由利子さんの写す現実と夢の狭間の感覚
ディオールのドレスやアイテムたちはもちろん美しかったのだけれども、わたしは何よりも高木由利子さんの写真たちに見惚れました。2回目と3回目の訪問は、高木由利子さんのインタビュー動画をじっくり眺めるのと、オートクチュールと共に展示されている彼女の大きな作品を身体中で感じるためと言っても過言ではありません。
彼女いわく、ディオールの作品を一番良く魅せてくれるのはダンサーだそうです。なぜなら、ダンサーは人間の体の動きを熟知しているからこそ、動きが自然でナチュラルであるから。だから、ドレスのもつ感情や情熱を表現するのに適している、と。
幼少期にバレエをしていたわたしにとって、慣れ親しんできた美を改めてフォトグラファーの方から「これは美しい」と評価され作品として触れるというこの経験は、心の奥底にあった宝物を誰かに見つけてもらえたようなそんな気持ちで。被写体を見つめる彼女の眼差し、ダンサーの身体のしなやかさ、その動きに跡を残していくオートクチュール……。ひとつひとつが合わさることでこんなにも美しい世界ができるだなんて。
写真だけ、オートクチュールだけ、ダンスだけ……どれもそれだけでは引き出せない、ひとつひとつがコーディネートされたからこそ作られる美しい世界観。なんて素敵なんだろう、とただただ作品たちに見惚れてきました。
ポストカードを買おうかとも思ったんだけれども、わたしはあの作品のサイズだから好きなのであって。何度も訪れて、あの世界を身体中で感じるのが一番良いんだろうなぁと思って結局何も買わずに会場を後にしました。そういう意味で、会場の写真を撮れたことで気に入ったアングルから見た作品を記憶に残せたことは本当に良かったなぁと思います。
障害者割引を使ってアートを鑑賞するということ
とにかく大人気でチケットもなかなか取れないというニュースは知っていたので、障害者割引のおかげで何度もこの展示を観に行けたことは本当にありがたいことでした。
わたしはわりとこういう使えるサービスは、使っちゃえ!精神でいるし、周りの人たちも「さんまりちゃんを誘えば、お得!」と思ってくれている子が多いように思います。それって本当に、ありがたいことで。
というのも、聴覚障害ってどうしてもコミュニケーションの障害なので。究極人と関わらなければ聞こえにくいことを自覚する必要もないわけです。でもこの割引があることで、周りの人たちがわたしを外に連れ出して、いろんな世界を教えてくれます。
誰も「障害者に社会参加の機会を!」みたいな大義名分なんか掲げてなくて、もうはっきり「ラッキー!」と思ってくれているんだけど、そのおかげで連れ出してもらえることが巡り巡ってわたしたちの社会参加に繋がっていて。本当によくできた制度だなぁって思います。
あと、係の人の誘導とか放送が聴き取れなくて一度目はスルーしてしまった展示とかも出てくるので、何度も展示に行けることで全てを堪能できたような気がします。まぁ、何度も行ってみての結果論なんだけれども。
でも、わたしが実際に足を使って出かけて言葉を紡いでいくことで、いつか手帳の仲間が「あの子を誘ってみようかな?」と人に誘ってもらったり「ここに行ってみようかな?」と一歩踏み出したり、このnoteが誰かの世界を広げるきっかけになっていたら良いなぁなんて野望を密かに抱いているので。今日も「手帳の割引を使ってお出かけしてきたよ!」を発信させてもらうのです。えへへ。