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こんにちは「翌日にひびく胃もたれ」さん。

兵庫の山奥で大学院生をしていた頃、わたしたちは週末になるとソワソワしながら高速バスに乗って梅田の街をフラフラしていた。普段は、近くのイオンで買った食材で慎ましく自炊生活をしていたので、梅田に出る日は外食も楽しみで。

確かあれは、キーンと冷える冬の日のこと。これはもう「お鍋を食べよう!」となって入ったのが赤から鍋のお店。わたしが大学時代を過ごした仙台では、在学中にオープンして。定期的に「女子会」と称してはみんなで通っていたのを思い出して、ここに行こうよと。つまり、お財布事情的にも学生にはちょうど良い場所だったという記憶があったわけ。

で、食べ盛りの20代も半ばの巨人と入ったその赤から鍋のお店は、おそらく以前はちょっと高級な和食屋さんだったのだろうという感じの個室のお店で。店員さんがやってくるたびに障子戸が開閉するそのお店でお腹いっぱい食べたらまぁまぁな金額になってびっくりした。赤からってそんな敷居の高いお店だったっけ。巨人は初めての赤からだったらしく「さんまりちゃんの金銭感覚は当てにならない!」とえらくびっくりしていた。わたしもびっくりだよ。

そんなわけで足が遠のいていたのだけれども、これまた数年前のクリスマスにどこもお店を予約せずに六本木の街を歩いていたらあの赤から鍋のお店を見つけてふらっと入って。そのお店は、わたしの記憶にあるような大衆的なお店で、大衆的すぎるが故にクリスマスはそんなに混んでいなくて無事に食にありつけた。20代も後半に差し掛かっていたわたしたちはそれぞれに収入もあったので、お会計はまぁまぁ妥当で安心して、それからまた2年。

灼熱の街を歩くことを早々に断念して商業施設に入ると、今度はキンキンの冷房の寒さにやられて「こんばんは、赤から鍋に行こう」と2年ぶりにあの店へ。今回入った店舗は、2年前と似た感じの大衆的な雰囲気の店舗で。そういえば前回は辛さ3で「いやーもうちょっといけるかもね」なんて話したことを思い出しながら、スープの辛さは4にしてみるなど。

お味は想像通り。ここは照明も明るいし、向かいに座るひとの口の動きは横顔でだって読み取れるので、いつものようにマシンガントークを繰り広げながら箸をつつく。もうアラサーなので、追加のモツは控えて、マロニーやらトッポギやらきしめんやらを煮込んではゆっくりと。

それで「さぁ会計だ!」と席を立った瞬間、胃の辺りがずーーんと重くて「胃がもたれているかもしれない」と呟く。すると「わかる。これは、明日にもひびくやつだよ」と隣の人が言う。

自慢じゃないけれど、わたしは20数年生きてきて、まだ一度も二日酔いや胃もたれを経験していない。飲みすぎたり食べすぎたりした日の夜は胃の辺りがズーーンとするけれど、アイスを食べて寝て起きたら完全復活している。だから、「明日にひびく」というところはとりあえずスルーして帰宅。

それが今朝。目が覚めると、なんだか身体中が重い。もう、朝ごはんなんかいらないぞ!なんなら昼ごはんも微妙かも……と言う具合で。若干の気持ち悪さも抱えながら夕方をむかえてみて、これは俗にいう「翌日にひびく胃もたれ」というやつなのだということをついに認めることになったわけ。はあああ。歳を重ねるというのは、こういうことなのか。

お会計のときに店員さんからもらったクーポン券は、両者譲り合い。静かにゴミ箱へ落ちていったのでした。2年後にはきっと、あのクーポンは使えないからね。


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