リスティング広告を始める前の共通認識
テクニカルな話しではなく、ここを詰めておかないと、信頼関係は構築できず契約は早期に終わってしまいますよ。というお話しです。依頼されるタイミングは色々で、新規サービスを作ったからとか、今の代理店が良くない、オーガニックが下がったので広告で回復を図りたいなどなど。
どんな依頼状況であれ、クライアントが出せる予算、求めるCPA(獲得単価)とCV数(獲得数)はあります。この3つはありますよね。
予算、獲得単価とCV数を提示された時に、市場感と合っているかどうかというのは非常に大事です。ここを相互認識しておかないと後々大変という話。
予算について
予算の多寡はクライアントがどこまで売上伸ばしていきたいのか、その中でWeb広告にかけらる予算はどのくらいあるのか?によって予算は決まります。
問題は決まっている予算と、獲得数は合うのか?ということです。
例えば、自動車保険の案件の場合、月100件、問い合わせを取りたい。予算は50万円です。となれば、獲得単価は5,000円になります。
市場感を合わせるというのは、ホントに5,000円で取れるのか?ということです。
ダメな代理店
5,000円ですね!分かりました!対応します。
市場感を合わせず、始めるとクライアントは5,000円で取れるものだと思ってしまいます。市場とかけ離れていれば、達成出来ないわけで
「いや~、競合が強くて厳しいです。獲得単価5,000円の要望でしたが、3万円になってしまいました。すいません」となります。
普通の代理店
5,000円は厳しいです。獲得単価は2万くらいしてもおかしくない市場です。その場合、予算を優先すれば、50万円なら獲得目標は25件になります。
または獲得件数を優先するなら2万×100件で予算は200万必要になります。
と、スタートすればトラブルになりにくいですが、獲得単価2万円というのをクライアントが認識してない場合、ホントはもっと安く取れるんじゃないのか?代理店は何をしてるんだ??と疑心暗鬼になります。
良い代理店
1件獲得した場合、収益はいくらですか?そのうち何パーセントであれば広告費に使えそうですか?自動車保険であれば、継続もあるので継続率を考慮したLTVを考慮すると、いくらまで出せそうですか?それをMAXの獲得単価とした場合、月何件くらい必要ですか?
と相手の事業をヒアリングした上で、適切な数字を出すので、CPAに納得感が出やすい。
仮にLTV考えてもうちは1件1万円しか出せないとなった場合、市場は2万くらいなので、1万円だと数が取れなくなるけど、それでもやるのか?確認した上で実行します。ここを納得の上で始めるとトラブルはほぼありません。
代替案として
クライアントはリスティング広告を実施して欲しいのではなく、リスティング広告を実施した際のCVが欲しい訳です。
それならリスティングに固執することはありません。
・SNS広告にしたらどうか?
・以前の自動車保険加入者に切り替えを促すDMを打ってみたらどうか?
・獲得効率を上げれば目標獲得単価に近づくので、現状のLPを直したらどうか?
・サイトを見た上で、改善点があれば伝える。
・ずっと出すのではなく、保険の切り替えの多い1~3月のみ広告を出しましょう
などなど、代替手段は積極的に提案しましょう。
市場感について
クライアントの認識が市場感より低い場合
必ず客観的データを以て共通認識を合わせてください。トラブルの元です。
市場に参入してある程度年数が経ち、昔は安く取れてた。競合が多いのは分かるけど、そこまで上がる??と考えているケースが多い。
クライアントの認識が市場感と同じ場合
理想の状態です。そこをMAXとし、獲得単価を下げる施策や、予算内で多く取れる施策を多く提案しましょう。
クライアントの認識が市場感より高い場合
代理店にとっては労せず達成できる数字なので楽でしょう。が、それを隠して、うちの手柄と言っているとと必ずあとでしっぺ返しがきます。双方の認識を誠実に合わせましょう。ホントは100万/月予算で済むのにクライアント200万/月出すと言います。自分の営業数字の為には200万なのでしょうが、正直に伝え、予算が200万あるならリスティングは100万でいいです。残りでLP作りませんか?SNSやってみませんか?など他の提案する分には良いです。
市場感はさておき、
以前は取れていたのになぜ取れなくなったのか?という状況の場合、
以前は1件、5,000円で取れていたのに2万円になったら納得しないですよね。ここは市場にせいにするなと言われても、伝え続けなければいけないことです。
平均クリック単価が100円だったものが平均クリック単価500円になっている世界で、運用で下げられるのはせいぜい400円台前半までです。ここは理解して頂くしかないのです。あきらめずコミュニケーションを取りましょう。
やってはいけないのは、クライアントは分かってないとあきらめることです。
以前は取れていたのに、なぜ取れなくなるのか?
自社が行っている事業は特許が必要や大型の設備投資必要、規制で参入出来ないなどでない限り、必ず競合が参入します。自社だけが儲かり続けることはないのです。
以前は安くリードが取れた、儲かっていたという企業の多くは製品・サービスの導入期に事業を始めています。この段階では競合は少ないのです。
成長期に入ると市場の成長スピードよりも市場に参入する会社が多くなります。
どんな製品・サービスも
導入期、成長期、成熟期、衰退期というライフサイクルがあります。
そして、それぞれの期でマーケティング目標は違いますし、プロモーション戦略も違いますので、それに合わせたクリエイティブの提案も必要になります。詳しくはマーケティングのTPOをご参照下さい。
https://note.com/stabilizer_311/n/nd20aa098dbb9
このように市場感を合わせ同じ土俵で戦っているという共通認識はリスティング広告を始める前にかなり重要だなと感じたのでnoteに書いてみました。
他のTips系の記事はこちらをご参照ください。
※Top画像 著作者:rawpixel.com/出典:Freepik