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続々・宇崎ちゃん献血コラボによって、献血者が増えたのか確かめてみた結果

※変更@2019/11/25:トップの写真を変更しました。相変わらず #スキマナース ですが。

また、宇崎ちゃんコラボの解析についてです。こいつ(自分)、本当に宇崎ちゃん好きだな。

過去の記事はこちら⇒第1回第2回第3回

これまでの私の結論は、下記の4点です。
・2019年10月の介入により関東圏1都県あたり平均で247人増加と考える。
・しかし、帰無仮説は棄却出来ない(p=0.0589)。
・介入は宇崎ちゃん献血コラボだけでなく、他の企画・出来事も含まれる。
・宇崎ちゃん献血コラボの影響だけを抽出するのは不可能。

これでもう終われば良いんじゃないか。とも思いますが、また新たな解析を始めた理由は、すもも様との解析結果の違いについて気になるからです。

すもも様とは違うベンチマークを利用しているので、結果およびその解釈が異なるのは当然なのですが、同じベンチマークでSynthetic Control Methodをやったらどうなるのか気になります。

利用したデータはこちら

同じく、日赤のホームページで公開されているデータを利用しますが、PDFの表に掲載されている「前年比」ではなく、前年データと今年データから自分で前年比を計算しました。これは、丸め誤差を少なくするという目的です。

また、介入地域も「関東7都県」ではなく、「東京都」に限定しました。つまり、介入でも対照でもない関東6県のデータは削除しました。よって、データとしては、東京都 vs 他道府県という比較になります。

結局、利用したデータとStataコードは下記です。気になる点などありましたら、ご指摘下さい。

解析方法

解析方法もSynthetic Control Methodです。日本語で読めて詳しく、かつ、分かりやすい解説はDr. KID先生のサイトかと思います。

対照となる他道府県に「重み」を付けて合成することで、「東京都とそっくりの合成対照を作ってやろう」という方法です。

2018年11月~2019年9月の前年比が、東京都・合成対照で一致するように重みを付けます。元記事では、15歳~64歳人口も一致するようにしましたが、東京都(人口とても多い)と一致させることは無理なので、今回は除外しました。

なお、p値は計算しません。SCMを行なうためのコマンドだけでは直ぐに算出できないため、たいへん手間がかかるためです。どう面倒くさいのかは、過去の記事をご参照下さい。まぁ、今回は傾向を見ることが出来れば良いという程度の考えです。

合成対照の作成

で、計算された重みがこちら。

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全部で36道府県に細かく重みを付けて、東京都の合成対照を作っています。これで、うまく合成できているか確かめます。

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RMSPEは「5.04e-09」と算出されました。マジか!ほぼゼロやん!
※RMSPEは「ゼロに近いほど、良い合成対照が作れた!」という意味です。

関東とそれ以外地域の献血者数前年比の推移

まずは、合成前の状況です。

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2019年10月度の差は、3.93ポイントです。しかし、東京都と対照(他36道府県)で推移が揃っていません。

東京は合成対照よりも増加している。

次に、東京都と合成対照の推移をみてみます。

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RMSPEがほぼゼロってグラフにすると破壊力が高すぎる。

2019年9月までは、ほぼ一致した推移を構成することに成功しています(やや東京都の値が小さい)。にも関わらず、10月については2.94ポイントの差になっています。合成前の3.93から約1ポイント減っていますが、大きな差が残りました。

言い換えると、10月に東京であった企画・出来事(宇崎ちゃんコラボを含む)により前年比で2.94ポイント増加させる影響があったと考えられます。

ランダムウォークでは無さそう。

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関東と合成対照の差を折れ線グラフで示した物ですが、激しい感じです。

元々やっていた解析に比べて、RMSPEが小さいので、こうなるのは予想通りですが、ランダムウォークでは無さそうです。

考察(=解析の限界点)

すもも様とほぼ同様の結果が得られました。前年比をベンチマークとすると2019年10月の東京都は他よりも大きな増加があったようです。

この原因をどこに求めるかは、困難だと思います。これまでに多数の方から指摘されていますが、2019年10月に東京都であった出来事は宇崎ちゃん献血コラボだけはありません。

私が思いつくだけでも、下記の点があります。
1.宇崎ちゃん献血コラボ(10月1日~10月31日)
2.冴えない彼女の育てかたFineコラボ(10月21日~11月30日)
3.台風19号により献血ルーム閉室(10月12日、13日)
4.閉室後の大々的な呼びかけ(10月14日以降)

これらの複合的な影響により、増減があったと考えるべきで、単に宇崎ちゃん献血コラボだけの影響であると考えるのは、論理の飛躍があると思います。

日毎のデータがあれば、他の影響を除いた宇崎ちゃん献血コラボだけの影響を抽出を試みることが何とかできそうなんですが…

最初から前年比をベンチマークにしなかったのは何故か?

前年比には2019年10月の増減を測定するための指標として欠点があるので、利用していませんでした。この欠点は、この解析でも当然残っています。

前年比が東京都で他よりも高いことは、「他よりも増えた」ことを必ずしも意味しません。前年が他よりも低かっただけかも知れません。

「前年比で10月が高い」は「今年10月が高い」または「昨年10月が低い」または「その両方」です。このように考察しなければならない可能性が増えるので止めていました。

結局、宇崎ちゃん献血コラボは成功したのか?

ここまで解析しても結局わかりませんでした

理由は2つありあす。1つは、宇崎ちゃん献血コラボ以外の企画・出来事も多くあり、宇崎ちゃん献血コラボの影響だけを抽出することができなかったからです。

もう1つは、本来測定するべき「若年層献血の増減」というベンチマークには触れることができなかったからです。

宇崎ちゃん献血コラボのページは見られないようなので、確認できていませんが、冴えない彼女の育てかたFineコラボのページには下記の記載がありました。

Q5.  なぜ、劇場アニメ「冴えない彼女の育てかた Fine」とコラボしたのですか?

A5.  現在、少子高齢化によって、若者の献血が減少しております。このままですと、近い将来、輸血に必要な血液が不足してしまうことが推測されております。そこで、将来に向けた若年層献血の推進方策として、若者に人気のあるアニメにご協力いただき、今回のコラボキャンペーンを実施した次第です。
※強調箇所は記事作成者による。

要は、こういったアニメ等コラボの目的は若年層献血を増やすことを目的としています。とのことです。

あのポスターが適切かどうかという議論ももちろん大事ですが、医療に必要な血液が将来枯渇する可能性があることについての周知ももっと必要かと思います。

宇崎ちゃん献血コラボ企画は、炎上を介して血液量不足を世に知らしめる結果になりましたので、ある意味成功と言えるかも知れません(なんて無理矢理な結論)。

なお、私は寡聞にして2027年に需要がピークに達し、101万人分足りなくなる見込みという話は知りませんでした(ただの勉強不足です)。

blood_donation(bot)様のツイートを見て、初めて知りました。

利益相反(COI)について

宇崎ちゃん献血コラボ関係の利益相反は、11月17日の記事中の通りです。また、コメントを頂いた舶匝様との利益関係はありません。

また、コメント頂いたり、ツイート等を引用させて頂いた方達との利益関係はありません。様々なご意見・ご指摘を頂きありがとうございました。

金銭・経済的なCOIはありません。ただし、金銭を頂くことを拒否している訳ではありません。何か贈りたい方は是非お願いします(ダイマ)


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