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いくもう

抜きも染めもしないことについて

見られている。確実にこちらを意識している。だって、すぐ横にいるんだもの。でも、なぜだ。いつもと変わらないではないか。何に関心を示したのだろう。

「パパ、白い髪の毛があるよ」

我が家の子どもが気になっていたのは白髪だった。そういえば、ボク自身も最近、目立ち始めてきたと思っていたところだった。すぐにその変化に気が付くとは。よく見ているというか、見られているんだなあと。気を付けなければ。鼻くそをほじっていると、たまにじーっと監視されていることもあるし。

で、白髪である。幼い頃の記憶を探ると、ボクの母親は白髪を忌み嫌っていた。見つけるとすぐさま抜いていた。オヤジは自然に抜ける派だったので、白髪はそれほどない。念のために。

母親はボクが白髪を見つけると喜んだ。そして、「嫌だわ」なんて言いながら、また抜いていた。白髪が増えてくると、今度は染め始めた。髪の毛がてっかてかになるくらいに白髪染めを塗りたくっていた姿を思い出した。

白髪と薄毛の関係性は?

「白髪が生えてくるとハゲない」。友人から聞いたことがある。その説が確かならば、ボクはオヤジとは異なりハゲないのだろう。別にハゲても、と言いかけたけど、やっぱり髪が薄くなるのは嫌なのだ(とはいえ、抜け始めたらスキンヘッドにしようと思う。潔く)。

ただ実際には薄毛が嫌というよりも、白髪のシルバーヘアーへの憧れが強い。ボクの好きなフットボールプレイヤー、元イタリア代表のファブリッツィオ・ラバネッリみたいになりたいからだ。

セリエAダイジェストという番組が深夜のフジテレビで放送されていたのを覚えている方は、おそらくボクと年代が近い方だろう。世界に触れられる数少ない機会だった。そこでファブリッツィオ・ラバネッリを目にし、一発で虜になった。

以来、シルバーヘアーへの憧れを口にしている。その入り口にようやくたどり着いたのだ。我が子に加齢と白髪の関連性を話すと、「パパがおじいちゃんになるのは嫌だ」なんて泣きべそをかき始めたけど、抜くつもりも染めるつもりもない。すまんよ、我が子。ここは、ちょっとゆずれないのだ。

ストレスと抜け毛に気を付けながら、時間を掛けて白髪を育成していこうと思う。朝、目を覚めたら白髪になっていたら困るけれども。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!


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