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神はサイコロを振らない - 「夜永唄」

僕が神サイをきちんと初めて知った時の曲。切ないメロディが耳に残るこの曲を今回は考察していく。ちなみにThe First Takeでも歌われているので、是非そちらも聴いてみて欲しい。

悲しい失恋ソング

どうして心ごと奪われて でもまだ
冷たいあなたを抱き寄せたいよ
金木犀の香りが薄れてゆくように
秋が終わり消えていったあなた

こうして心ごと閉じ込めて
あなたが弱り切った僕から離れないように
沈黙さえも二人を繋ぎ止めていた
時を止めてこのまま

この曲は「僕」から離れていった「あなた」への失恋ソングだ。曲の初めから既に「あなた」は去ってしまっており、「僕」は悲しみに浸っている。そしてまだ「あなたを抱き寄せたい」、そんな未練が残っている

「冷たいあなた」というのは恐らく彼女との温度差だろう。今となっては「沈黙さえも」二人でいることの証だったと感じるほどに「僕」はショックを受けている。
ちなみに「金木犀」の花言葉の1つに「初恋」がある。恐らく彼女との恋は「僕」にとって初恋だったのではないだろうか。

あなたに逢えば二人はもう
友達に戻れないと分かっていた
瞳に映る全てを幻にして
夢の中漂いながら分かっていたんだ
独りよがりの愛と uh

再び会ったところで友達にはもう戻れない、そう「僕」は思っている。そして「僕」は「独りよがりの愛」だったんだと述べている。現実では「独りよがり」とわかっていながらも、その現実を「幻」にして「夢」を見ていたのだ。

未練を残す「僕」

こうして心ごと閉じ込めて
あなたが弱り切った僕から離れていかないように
沈黙さえも二人を繋ぎ止めていた
時を止めてこのまま溶け合う

この目や耳や鼻や口や身体中の五感
全てはあなたの為にあるように
独りよがりの口づけを朝までしたことを
今でもまだ痛いほど鮮明に覚えている

2番の初めは1番とほぼ同じ構成になっている。「僕」は自分の中の「時」を止め、過去を思い返す。あの日二人で朝まで交わしたキスを今でも「痛いほど」覚えている。しかしそのキスすらも「独りよがり」だったと「僕」は嘆いているのだ。

花びらに似た指先を
静かに撫でながら過ごした夜が
また繰り返されてゆく
何度願っても触れることさえ叶わない
枯れ果てたはずの涙がまた零れて

どうして心ごと奪われて でもまだ
冷たいあなたを抱き寄せたいよ
金木犀の香りが薄れてゆくように
秋が終わり消えていったあなた

二人で過ごした夜を「僕」は忘れられない。「繰り返されてゆく」というのは恐らく「脳裏で」ということだろう。何度願っても叶わない、もう終わってしまった恋に対し、「僕」は涙を流し続ける。

そして最後は1番の最初の歌詞で終わる。これは恐らく、この未練や後悔を繰り返し、ループしていく「僕」の気持ちを表しているのだろう。

まとめ

この曲の歌詞は一つ一つ丁寧に考えられていて、歌詞を読むだけで切なくなってくる。「繊細な歌」という表現がぴったり当てはまるだろう。男性側のどこか「女々しい」感情も上手に表現されており、世の男性(自分含む)には特に刺さる曲ではないかと思う。

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