こどもという仕事と哲学

曇り空を 背伸びしながら
窓越しに じっと眺めて

遠くにある 少し青い空を
白くて薄い雲を
自分の息吹で飛ばそうと試みた

曇り空ならぜんぶ曇ってなければいけない
自分に見える限りの空は

愛とか
恋とか

そんな大人のするようなこと
どこか うそくさいようなこと

知らないし
興味もない

今ほしいのは
ビリジアン色のミント味のアイスクリーム
イルカの形の消しゴム
クッキーの香りがする折り紙

だって わたしは
れっきとした子供だから

愛とか
恋とか

そんな大人のするようなこと
どこか うそくさいようなこと

知らないし
興味もない

お隣のおうちのマー君は
すみれ組のみゆきちゃんが好きなんだって

みきちゃんが言ってたけど

わたしには
関係ない

だって わたしは
れっきとした子供だから

子供はちゃんと子供でいなければいけない
曇り空ならぜんぶ曇ってなければいけないのと同じように

愛とか
恋とか

そんな大人がするようなこと
どこかうそくさいようなこと

知らないし
興味もない

だって わたしは
れっきとした子供だから

与えられた子供という仕事を 
こなさなければならないの

おかあさんが
おかあさんという仕事をしなければならないのと同じ

おとうさんが
お父さんという仕事をしなければならないのと同じ

わたしたちは
責任を持って 家族という仕事をしているんだから

窓越しの曇り空は
そのうち ぜんぶ 少し青い空になるだろう

わたしは 責任を持って

遠くにある 少し青い空を
白くて薄い雲を
自分の息吹で飛ばそうと試みた

子供ねぇ、とそばでほほ笑む
おかあさんのために


#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

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