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学会参加報告:交流分析学会2023その1 職場に活かす交流分析:ハラスメント防止のために

 いやあ、先週の金曜までの3週間、学会発表や講演が重なり、今年一番忙しい時間を過ごすことになってしまいました。さらに来週末に本社オフィスの移転を控え、荷物整理に追われています。ほとんどが本と書類なのですが。
 遅くなりましたが8月に行われた交流分析学会の参加報告その1です。交流分析は私が人と関わる際の根幹にある物の見方・考え方、哲学で、それをどのように現場に生かしたらいいのか、勉強を続けています。その1では初日午後に行われた特別企画、「職場に活かす交流分析:ハラスメント防止のために」を報告します。


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日本交流分析学会 第48回学術大会・講習会
日時:2023年8月12、13日
会場:日本大学歯学部 本館7F
テーマ:交流分析の未来
https://jsta48th.com/
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 ▼「笑点」を見ているようで面白かった

 シンポジウム形式で壇上に担当委員5人が座りました。司会は学会理事長の芦原睦先生です。
 何をやるのかなと思ったら、職場でのやり取りをいくつか想定し、それに対し、エゴグラムのCP、NP、A、FC、ACからどう反応するかを、壇上で担当委員5人それぞれの役を受け持ち、答えるというもの。日曜にテレビでやっている「笑点」を思い浮かべていただくとわかりやすいかと。
 司会者が、「昨晩から熱が出たのでコロナかもしれない。休ませてください」と話を振ります。
 それに対しCPは「甘えるな!出てこい!」と演じる。笑いが起こる。
 次に司会者はNPの人に向かってまた、「昨晩から熱が出たのでコロナかもしれない。休ませてください」と話しかける。
 するとNPは「それはつらいですね。ゆっくり休んでくださいね」と答える。
 こんな調子で壇上の先生方がA、FC、ACそれぞれを演じて答えるわけです。

▼取り上げられた「お題」

 ワークとして取り上げられた「お題」は、
 ・皆の前で、大声で叱責された部下が、上司に「他人の前で叱らないでほしい」と伝えたい。各自我状態からどう話す?
 ・後輩から、別の先輩との関係で悩んでいると相談を受けた。「最近、Bさんにグチグチと言われて…あの人の下で仕事をするのが辛いんです」と言われた。どう返す?
 ・メンタルヘルス不調者が復職してきたとき。「今日から復帰することができました。今まで長い間ご迷惑おかけしました」と挨拶してきた。どう返す?
 ・復職面接で、異動を強く希望されたとき。「この部署での仕事は合わないんです。異動させてほしいです」言ってきた。どう答える?
 ・部下から、「あなたの方針についていけません。さっきの説明もわかりません」と言われた。どう答える?
などです。
 その場で考えて咄嗟に答えるのはなかなか大変ですよね。「声に出して読みたいオープンダイアローグ」もそうですが、サンプルを読むだけでも勉強になるな、というのは今回も思いました。アドリブでやるのはそれなりに自信がある人でないと難しいと思います。

▼自我状態の肯定的側面と否定的側面の両方を取り上げる

 一工夫あったのは、各自我状態について、肯定的な言い方と否定的な言い方の両方を考えること。たとえばCPだと否定的側面ばかり考えてしまいますが肯定的側面もある。こうやっていろいろと考えることで、応答の幅を広げることができるわけです。

▼ハラスメント研修に取り入れるには工夫が必要か

 FCの高い司会者(芦原先生)ということもあって、とても面白かったのですが、課題としては、これをハラスメント研修に入れるのは、時間的に余裕がないと難しいだろうと思いました。たぶんハラスメント6類型の説明や具体的なNGの言い方などの説明で終わってしまうと思うんですよね。これをやるにはエゴグラムの説明が必要ですから、研修時間が3時間くらい必要なってしまうかもしれません。どんな工夫ができるかな?などと考えながら楽しませていただいた次第です。
 登壇された先生方、お疲れさまでした&ありがとうございました! 

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