絵本が伝える生きる知恵――「フクロウの声が聞こえる」
絵本の読み聞かせは、小学校の教育委員会でも研修しているテーマです。絵本に描かれていることは、そもそもは、口承文化でした。そこには、人間が成長する過程についての知恵と真実が描かれていました。
けれども、現代に流通している絵本と、そもそもの原話となっているグリム童話や日本の昔話とでは、大事なところが省略されてしまって描かれているのがとても残念に思います。
日本の昔話研究の第一人者といえば、小澤俊夫さんです。
最近は、『シンデレラ』の原作が『灰かぶり』であることを知らない方も多いようで、先日、ある子育て中の女性に原話の解釈をお話したら、とても感動されていました。
そう、シンデレラこと灰かぶりは、実は、三回もお城に行ったのに三回とも戻ってきているのです。なぜ、三回も戻ってきたのか。小澤俊夫さんは、次のように書いています。
『灰かぶり』の文法は、子どもの成長は揺れ動きながらするものということです。
自分のほんとうの美しい姿になりたいと思う。それを誰かに認めてもらいたいと思う。ところがそれが認められると、また汚い姿に戻る。ということを、繰り返しながら成長してゆく過程を描いていると、小澤さんはおっしゃいます。
小澤俊夫さんの息子さんである小沢健二さんの楽曲は、まるで口承文化のようで、俊夫さんは健二さんのことを「僕の息子は吟遊詩人なんだ」とおっしゃっていたことがあります。
小沢健二さんは、ニューヨークに長く住んでおられてて、いまも世界の動向をいちはやく楽曲にして日本に伝えてくださっています。
葉山町図書館での絵本展示をプロデュースすることになり、近いうちに開催される予定ですので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。
子どもにも大人にも、心のお守りとなるような内容をお伝えしています。
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