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今月最大のどうにもならない泣き

言葉はほんとに通じてるのか

娘は、3歳3ヶ月。
私が「ディズニーランド行きたいなぁ」などと口走ろうものなら、
「ちんがたころなういるすいるからミニーランドいけないのよ」
とたしなめるくらいに口達者だ。

話が通じる3歳。

舌ったらずなド直球の覚えたての言葉。

それは、時に人を槍で突き刺す言葉でもある。

今朝作った鮭の野菜あんかけ。
オリジナリティと、パサパサが苦手な娘のために食べやすさと、ピーマンの消費のために、試行錯誤したもの。
「変な味がするからぁ、好きじゃないの」
と、一刀両断された。

どこにもいけない四連休、でっかい段ボールが手にはいったので、パパと娘で、ドアを着けて『おうち』を作った。
「今日中にもっと大きくちてほしい」
との娘の無理難題に、突っぱねようとした(寝る時間だった)私。それをパパが優しく、ちょっと頑張ってみる、と、うちに転がっている段ボールを張り合わせ、拡張工事をしていた。
1.5倍くらいになってそろそろ完成!というところに、「まだ狭い。パパとママと(娘)ちゃんが入るくらいがいい!」と言い始めた。
いらっとするよね……と、パパの一言が漏れる……。

でもさ、あんなこと言って泣く娘だよ。
大人と認識がそもそも違うんだよ。

私がいうと、パパも「そうだよなぁ」と妙に納得。

その、『あんなこと』とは……

どうにもしてあげられない大泣き

以前、焼肉屋に行ったとき、どうもテンションがおかしかった。
「ここはテビリ(テレビのこと)の中なの?」とうれしそう。どうしてそんな気持ちになったのかわからない。食レポを観たのを思い出したのか、半個室だったから、囲まれている感じがテレビっぽかったのか。
帰ってからも、
「どうしたらテビリの中に入れるの?」
とやたら言っていた。
聞かれた親は、「テレビのどんなとこに、行きたいの?」と聞いたり、何か一生懸命頑張ると、テレビにうつれるかもしれないよ。と、最大限噛みくだいた、大真面目な話をしていた。

ところが、娘は納得せず、大泣きをしてしまったのだ。

「今、テビリの中にはいりたい!どうちたら良いの!?」
そして、
「とびらはどこ!?」
と泣き叫んだのだ!!

えっっっ、と、び、ら……!!!

一瞬、テレビが初めて家にやって来たときに、おばあちゃんとかが言いそうな「この中に小さい人入ってるのかい?」という台詞がよぎった。
なにいってるのおばあちゃん、そんなことないでしょ。

今までさんざん、こどもの番組がいいだの、しまじろう観るだの、なんなら4色ボタンのクイズに無言でdボタン押して参加してる、この、テレビネイティブの娘が、まさかそんな認識でいたとは。
さすがに我が家もブラウン管は卒業して薄型だし、まだ壁掛けには至っていないので、裏側を娘も見たことあるはずだ。

扉を開ければなかに入れる。
四次元空間か。
じゃあそれを言ったらスマホはいったいどないなってるんだ。

それは、今月最大にどうもしてあげられない大泣きで、もう、大人はただただ呆然と、笑っちゃいけないと思いながら、泣き止むのを待つしかなかった。

2歳の頭の中、そんな認識なのだ。
経験値があまりに少なすぎるがゆえに、想像でしか補えない。想像では、テレビの中の人たちは出入り自由なのだ。そりゃ、オバケとか出てきたら恐怖でしかないだろうな。
現実と空想(仮説?)とのいったり来たり。

そりゃ、パパはいくらでも段ボールハウスの面積簡単に広げられると思ってるだろう。ママは、食べたくないもののかわりに、今まで食べた好きなもの出してくれるかもしれないと思うだろう。


言葉が通じるからといって、認識も一緒とは限らない。
彼女なりの三年間生きてきた世界の認識で、会話しているのだ。
そして、それは大人と違うからといって、バカにはできない。

そう思うと、先の言葉も、嫌みな上司が言うのとは全く訳が違うことがわかる。
本人には、相手に槍を向ける気が全くないということだ。

この先もしばらくは、

テレビの中に入れると思ってる人だもんな、

と思えば、大概のことは許せそうな気がする。

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