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大人になりたくない と言った3さいへ

娘(3歳4ヶ月)はいつも、ある程度夕飯を食べて腹八分目になると、私の膝に座って続きを食べ始める。

最初は、もう眠くてどうしようもないときに、だっこしてもらいたくてきて、膝の上で寝てしまうのが始まりだった。
が、最近は体力ついてきたのか、大きくなりすぎておさまりが悪くて眠れないのか、そこでだらだらと残りをつまんでは口にいれたり、私のお皿からいつの間にかおかずを減らす、妖怪おかず消しになったりしている。

今日もそうやって、縮こまって母とテーブルに挟まりながら食べていた娘が、ポロリと言った。

「大人になりたくない」

と。

少し前まで、大きくなったらこれしたいあれしたいと、いつになったら出来るのかと問いただしていた娘が、大人になりたくないとは……。

私が大人になりたくないなどと考えたのは小学校5年生の時なので、大分早い気もしてびっくりした。

実は数日前も同じこと言っていて、理由を聞くと、
「ずっと遊んでいたい。大人になったら遊べなくなる」から、だそうだ。
今回も、
「ずっと遊んでいたい」
と言っていた。

実は最初に言われた時、私は大きな大人の遊びの真っ只中にいた。
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主婦が本気で遊んだら、娘の足を見つめ、終電で帰り、見えなかったものが見えてきた。|さんご @GMKqK45tieDHxCy #note https://note.com/sango522/n/n88f106a52c7b

あんまりにも楽しくて、私はその時にいろいろ思ったことを、娘に言った。
大人になっても遊べるよー!と。子どもとは違うかもしれないけど、大人にしかできないいろんな遊びが出来るんだよー!と。

そして、そのやり取りのことを、高校からの付き合いの友人との、手紙の一節に書いた。

して、今日である。
「大人になりたくない」という娘。
ちょうどそこにきたお返事の手紙。

彼女の手紙の中に、『大人になってからの方がはるかに自由で、やりたいことができてる気がする』ということが書いてあった。
うんうん。

そうなのだ。私も、小学生、中学生と上がるにつれて息苦しさを感じていたのだけど、高校に入って一気に平和に気持ちも自由になった。
そこから先、辛いことはあったけどなんだかんだやっていけるのは、子どもだったころよりも、大人の方がはるかに沢山の、好きなものや人と居場所をもっているからかもしれない。
中学の、ここが全ての世界という閉塞感が苦しかった。
でも今は家族、もと職場、高校友人、大学友人、その他の友人、趣味、ネット、本、いろいろな場所がある。
人に無理に合わせなくていいし、私の好きなものや、文章を肯定してくれる人がいる。

そして、居場所はこれから新しく作ることだって、できることを知っている。

逃げたくなったら、別の場所に逃げてもいいと知っている。
だから、大人ははるかに自由だ。

友人の手紙は、本当に温かくていい文章で、思いたって娘に読み聞かせはじめた。

読んでいると「~~でも、有給のとりやすい会社がいい!」 と続き、声に出る有給という言葉と3歳娘の顔のアンバランスさに、思わずふきだしてしまった。
3歳に有給はまだ早い(笑)。
でも、どんなに仕事が楽しくても、バカンスは別!大事!という友人の言葉、確かにそうだなと思う。私も仕事はじめたら気を付けよう。

最後に『大人になったら空だって飛べる!』と書かれた一言に、娘が
「じゃあ!わたちは、うちゅうにいく!!!」
と立ち上がった。

なんと勇ましいことか!

宇宙飛行士か、もしくは娘が大きくなる頃には、宇宙旅行も夢じゃなくなるかも!?
私もワクワクしてきた。

今、目の前を全力で楽しんでいる3歳。
こないだ、別の友人のお子さんたち(年上)に遊んでもらったら、あまりにも楽しかったようで、バイバイしたあと悲しそうに言った。

「どうちて……どうちて、もう、夕方なの……?どうちて、あさと昼はみぢかいのに、よるは長いの……?」

楽しい時間はあっという間、それを身をもって体験したのだなぁ。
そんな表現をいつの間に身に付けたのだろうかと、母はびっくりだよ。

大人になりたくないなんて。
朝や昼のように、子どもでいられる時間も、そう長くはないのかもしれないと、気づいたのかもしれない。

もう大人になってしまった母には、羨ましくも、寂しくもある。
そして、娘にはまだもう少し子どもでいてほしいなと願ってしまう。もう少し、膝の上に収まるサイズでいてほしいなぁなんて。
願えば願うほど、時間というのはあっという間なのだけれど。
そう願う母は母で、実は『母』という時間を娘からもらったのかもしれない。

書いていたら、新沢としひこさんの、曲を思い出した。
「おたんじょうび おめでとう」というどシンプルな曲名。新沢としひこさんは他の素敵な曲が沢山ありすぎて、YouTubeに載っていなかった……。(『手話ソングブック2 きみとぼくのラララ』に収録)

1月うまれさん、おおきくなったね
それはうれしいことだね おめでとう
これからすばらしいことが たくさんあるよ
いいな いいな○○ちゃん
おたんじょうび おめでとう

それだけの、どシンプルな歌詞で、12月まで延々続くのだ。名曲『にじ』とかに比べたら、だから変なうたなのだけど、でも聞いてるうちに、なんだか一年としをとるその日に、これからすばらしいことがたくさんあるって思えたら、なんだか嬉しいなぁ、シンプルだけどとっても素敵だなぁ!と思った。

娘、娘には、これから先何年も、子どもの時間も大人の時間も、未来がたっぷりある。
4歳も5歳も、子どもも大人もどの時間もいろいろあるけど、なんだかんだどの時間も不要な時なんてなくて、楽しいこともたくさんある。
娘が、そんな時間を、惜しむほどに満喫できたらいいなぁと、母は願う。

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