多目的最適化


多様な価値観があるなかで,どう意思決定をすべきか,多目的最適化が教えてくれます.

最適化問題

については,https://note.com/dr_kano/n/nb1e73d3d4d54を参照ください.世の中のことを最適化問題の枠組みに当てはめることはとても汎用性があり有用なやり方です.

多目的最適化

一口に最適化問題といっても,いろいろな種類があります.多目的最適化問題は,評価関数に複数の項目が入ってるやつです.例えば,CO2排出量は減らしたいけど便利さは失いたくないとか,経済活動への影響と肺炎重症患者の数を減らしたいとかね.単一の価値観で評価できることは非常に少ないので,世の中は多目的最適化問題で溢れていると言えます.

多目的最適化問題をうまく解かないと,経済活動への影響は全然ないけど肺炎重症患者の数がめちゃくちゃ多くなったり,経済活動への影響はめちゃくちゃあるけど肺炎重症患者の数はゼロになったりします.経済活動への影響も重大で肺炎重症患者の数も多くなる,みたいなことも起こり得ます.

多目的最適化問題の解法

で,どうすんねんと.

まずは行動と結果の関係を予測する必要があります.自粛要請すると,経済はこうなって重症患者数はこうなる.自粛要請しないと,経済はこうなって重症患者数はこうなる,みたいに.この予測を高精度に行うために,感染症の専門家や経済の専門家が尽力してくれていると思います.

次に,経済と重症患者数を統合します.そうすれば,シンプルな最適化問題になるのでたいてい解けます.経済活動への影響の単位は「円」で,重症患者数の単位は「人」です.単位の違うものを比べるのは難しいので,単位を揃えるために換算係数を導入します.円とドルだったら,この換算係数はだいたい100 円/ドルですね.「100円と3ドル」は「4ドル」や「400円」にまとめることができます..

経済活動への影響と重症患者数の間の換算係数っていくら?ちょうど良いバランスってどこ?そんなん誰も知らんと思うよ.政治家の人が政治判断の名の下で苦心して決めてるんだと思う.

換算係数しだいで,とるべき行動が変わるのは想像できますよね.人によって色々な言い分があるのは,換算係数が違うんだなと思えば整理しやすいかも.そもそも単位の揃わない話をしている人には,「単位を揃えてね」と優しく言ってあげてください.

最後に

一番重要なことを言います.どの項目を評価関数に入れるべきなのか,慎重に吟味してください.評価関数に入っていないものは,無視されることになります.換算係数でいうと,0ってことです.大事な要因をもれなく列挙され,適切なバランスの下に,行動が選択されることを祈ります.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?