コロナリストラに遭ったょ☆その①「解雇通告」

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コロナリストラに遭ったと言うと周りが結構驚くので、
珍しいんかなー?と思いその一部始終を記録しました。

中国系企業で勤めていたため、中国の方とのやり取りやそれに対するツッコミ等がありますが、決して中国人差別を意図しているものではありませんので、その辺ご理解いただける方のみお読みください。
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時はさかのぼること4月上旬、その知らせは突然に訪れた。
いや、前兆はあったのだ。

前兆は更に遡ること3月、突然「これから1か月のうち休みを10日増やす」と言われ、
スタッフのバランスを取るためにシフトが組まれた。
(組まれたと言ってもそのシフトを作成したのは私であるが)

もちろんこの「10日間休み」の給料は出ない。
会社いわく新型ウィルスの補助金でこの10日分給与の一部をまかなうということだった。

その10日休み体制に入ってから約3週間が経ったとある日、
突然の解雇通告がなされたのである。

その日のことがあまりに衝撃的だったので詳しく記録したいが、
その前にこの会社の概要と人間関係を記しておく。

この会社の業種は不動産、主に中国人向けに売買仲介を行っている会社で、
いわゆるインバウンドで成り立っている会社であった。
(はい、今会社がインバウンド系に勤めてる方、危ないですよ~!)
設立して5年ぐらいの会社で、自社所有の一棟マンションも複数あり、事業は上々に見えた。

人間関係がまたおもしろい。
社長は30代半ばのイケメン、中国人だが幼少時から日本で育っている。

営業は3人いて、
営業Aさん…日本籍取得済みの中国人男性。仕事はできないのにプライドだけは一丁前、それゆえ営業成績が悪いので実はコロナ騒動になる前に一度クビ宣告を受けている。
しかし家庭を持っているので社長に懇願し、なんとか1か月クビを伸ばしてもらっていた。

営業Bさん…このコロナリストラの一番の被害者であると私は思っている。彼もまた中国人だが、北海道から「不動産をやるぜ!」という強い大志を抱きながらわざわざ大阪くんだりまでやってきた若き青年。

営業Dくん…Cじゃないんかい!と思われた方もいるだろうが、私はあえて彼をDくんと言いたい、なぜならD貞にしか見えないからだ。
(このDテイ疑いはこれまで彼女がいたという話を聞いて晴れる。)
彼もコロナリストラの第二の被害者である。なぜなら超超超大手の優良企業を辞めて、このポンコツ会社(実際にはポンコツ会社とは思わないが世間的にはきっとそうなのでそういうことにしておく)に入社してしまっていたからだ。
しかも3月に入社し、入社した途端に10日休みが増え、その3週間後に解雇宣告されるんだから、彼が不幸でなくて誰が不幸であろうか?

このほかに、
事務の先輩陳さん(仮名)…中国人女性。この人がこの物語の主人公と言っても過言ではない。とにかく頭のいかれた奴である。高校時代に日本に来ており、その日本語能力はズバ抜けて高い、しかも超のつく美人だ。
どのぐらいの日本語能力かというと、ハッキリ言って私より上手な丁寧語を話す。そんな彼女の口癖は、「さようでございますか」と「〇〇さん、おかけになって。」である。
ちなみに営業Aさんを死ぬほど嫌っている。

経理のおばちゃん中川さん(仮名)…仕事はできるが性格に難あり(というか難のない人間がこの会社にはいない)、経理は彼女一人で、オフィスの中の激セマ小部屋を一人で使っている。私は入社当時その小部屋を独房と呼んでいた。これには訳があるが長くなるのでそのうち。
ちなみに事務の陳さんのことが死ぬほど嫌い。そして陳さんもおばちゃんのことが大嫌いだ。しかし二人は大人なので表面上はにこやかに世間話をしたりなんかもする。私は間にはさまれて非常に息苦しかったのはお察ししていただけるだろう。

以上、スタッフは私を含め合計6名のまさにいわゆる「個人企業」である。登場人物が少し多かったかな。一言に特徴を表すと、
営業A…ぽんこつ。
営業B…情熱派。
営業D…優秀。
陳さん…たぬき。
経理…おばちゃん。
である。みんな、覚えたかな?

さて本題である。
我々はどう解雇宣告を受けたのか?

私がコロナリストラに遭ったと言うと大体の人が私に聞くのが「そういう時ってどうやって言われるの?肩ポンポン?」である。
みんながそこに興味があるとは意外だった。

結論を言うと、「肩ポンポン」ではなかった。

その日は私の人生においても忘れられない日なのでお話ししましょう。
まず午前中は何も知らないのでみんなが黙々と自分の仕事をしていた。
人間関係は複雑だが仲は良い、和気あいあいにと言ってもいいだろう。
そんな中、社長からグループチャットで「今日16時から緊急会議します。全員集合してください」と連絡が入る。
全員集合と言っても、10日休みの関係で陳さんと営業Aさんは今日は休みである。
私は「全員ですか?経理の中川さんも?陳さんとAさんは休みですが。」と返事した。
社長からは「全員です。」とだけ返事が返ってきた。
普通の日系企業では考えにくいことだろうが、中国系企業ではこういうことが結構よくある。
つまり休みの人にも平気で会社に来させるということだ。

私は独房にいる中川さんに会議のことを知らせ、陳さんとAさんに連絡をした。
みんな「緊急会議」と聞いてびびっていたが、まさか解雇宣告とはまだ思っていなかった。(一度クビになっていた営業Aさんは思ったかもしれないが)
その日はちょうど緊急事態宣言が発表された翌日ぐらいだったので、きっと在宅勤務とかそういう関係の話だと少なくとも私は思っていた。
それはなぜかというと、10日休み令が出た後に、事務の先輩陳さんと経理のおばちゃんに「この会社大丈夫なんですかね~」と聞いたら、
おばちゃんは、「まぁお金はあるから大丈夫だと思うけどね~」
陳さんは、「大丈夫よ。オーナー(実は出資者が別にいて、その出資者は中国在住の中国人)がもうあり得ないほどのお金持ちだから」と言っていたからである。

16時前に陳さんとAさんが会社に着き、社長が会社に到着してから「緊急会議」が始まった。
社長が「えー、非常に言いにくいことなんですが(この一言でみんなに緊張が走る)、緊急事態宣言が発表されて、この会社のオーナーから、この事務所の引っ越しと、従業員のリストラを言われました。」

心の声:まーじーかーよー。

社長:「オーナーも、中国で会社を持っていますが、その従業員を、何百人、何千人という規模でリストラしていて、なのでこっちもしろということでした」

心の声:おいおいおいおいおい

この時点でほぼ全員、誰が残るのかはわかっていた。

社長:「で、僕も本当に苦渋の決断なんですけど、残ってもらうのは、経理の中川さんと、陳さんの2人です」

心の声:ですよね~~~~~

その後一旦二人以外は全員解雇となるが、営業として仕事をする分にはフリーという感じで契約が取れるごとに報酬を渡すというようなことを説明して、一通りの社長からの報告は終わった。

社長が何か質問はありますか?と言ったので、私が何日付の解雇か聞くと、なんとその日から5日後であった。
その瞬間私は「解雇通告は1か月前通知のはず。」と思い、会議が終わったらすぐに調べてみようと思った。
全体会議はそれで終わり、その後は一人ずつ個別面談ということだった。

そしてみんながあっけに取られた気持ちで作業場に戻ると、更に恐ろしいことが私を待っていたのだ。


その②に続く。

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