『極限推理コロシアム』/ 矢野龍王 | どストレートなタイトルのデスゲーム
第30回メフィスト賞受賞作。
メフィスト賞はなんというか、自分の好みに合ってるんで、気に入っている小説にメフィスト賞受賞作は多い。そのうち全作読みたいと思ってるくらい。
そしてこの本。まずタイトルがいい。
極限推理コロシアムって…マジで直球ストレートすぎて、最高。
読み終わってみると、たしかにそんな話だけど、ちょっとした恋愛要素もあって、「極限推理」というほどではないかも…いや、まぁ生き死にはかかってるという意味では極限か。しかし読む手が止まらない本。一気に読み終えた。
夏の館という蒸し暑い場所に閉じ込められた男女。主催者からの指令は、これから起こる殺人事件の犯人を当てろ、犯人役は自分たちの中にいる、当てなければ殺されるというもの。解答権は一回。いわゆる犯人当てデスゲーム。2004年に面白いことを考えてるな〜と思いながら読んでた。
ここまでは、ミステリーとしてはよくある設定かもだけど、この本は珍しい設定がある。
夏の館だけでなく、冬の館という寒い館もあり、そこでも同じようにデスゲームが行われている。そして犯人は一人ではなく二人。夏の館、冬の館に隠れている二人の犯人役を同時に当てなければならない、というもの。
夏の館で二人の犯人役を間違えて解答すると、夏の館の全員が殺されるし、冬の館も同様。館同士はパソコンで通信できて情報の共有は可能…
なら、お互い協力すればいいじゃん、と思いきや、先に正解を解答されると、解答できなかった館の人は全員殺される…
バカ正直に相手の館に情報を渡すと、先に解答されて死ぬし、情報が無ければ解答もできない。モタモタしてると犯人役に殺される…心理戦の要素もめちゃくちゃデカい。
面白いな〜と思いながら読んでると、なんとなくこーいうことじゃないか?ってわかってくる。ゲームっぽい設定なんで、けっこうトリックというか、オチ的な部分は気付きやすい話だと思う。
しかしヒントとしてあった、アルマジロとセイウチの像の話はなるほどな〜と思わされた。全体のトーンは90年代のサウンドノベルっぽい。殺されていく過程や恋愛要素含めて、なんとなくかまいたちの夜を思い出した。登場人物のキャラ立ちもしっかりしてて、殺されると少し寂しくなるほどだった。
こちらが唸るようのトリックや、深みがある人物描写みたいなものは全然ないけど、キャラ立ち人狼ゲームみたいな感じで読むと、とにかく手が止まらなかった。最初の10ページ読んだら止まらない系小説なので、設定が気になる人はオススメです!
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