雲南日本商工会通信2021年7月号「編集後記」
先日、内戦状態になったミャンマーの少女が「自由のためなら命も惜しくない」と言っているのをニュースで見ました。この言葉、「自由のため」なら違和感はないですが「健康のため」だと変な言葉になってしまいます。彼女にとってコロナ禍は取るに足らないこと。人間にとって本当に大切なものは何かについて、改めて考えさせられました。
ところで、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のエンディングテーマは椎名林檎率いる東京事変の「緑酒」です。
この曲は「自由こそ最も守る価値のあるものだ」というメッセージソングです。そしてタイトルの「緑酒」は、紅灯緑酒という成語から来ているようです。意味は「歓楽街・繁華街の華やかなことの形容。また、歓楽と飽食の享楽生活のたとえ」だそうです。うがってみればこの曲を「飲酒の自由さえ禁じられることへの反発」と読み取ることさえ可能です。
同番組でのインタビューで知ったのですが、椎名林檎には三人の子供がいるそうです。コロナ禍の中で三人それぞれが新しい船出の年を迎えたそうで、とても悩ましい思いをしたとのこと。
年を取ると忘れてしまいがちですが、我々を形作っている人生は偶然の積み重ねです。小さな奇跡の積み重ねと言っていいかもしれません。そしてその奇跡の多くは、若いころに発生しているものです。大人たちにとっては「不要不急の外出」でも、若者たちにとっては、人生の相方にさえ出会えるかもしれない「奇跡が発生するチャンスタイム」なのです。
重篤化しやすい高齢者の命を守るためとはいえ、それを1年半以上奪った罪は小さくないことを、われわれ大人は肝に銘じるべきではないでしょうか。
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