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雲南日本商工会通信2022年8月号「会長の挨拶」

 久しぶりに日本のニュースを見てみたらオミクロンB5から派生したものとして注目されているケンタウロスという名前の新株が報道されていました。
 過去2番目に多い1万9千人余り(執筆当時)の新規感染者が発生している日本の皆さんはこのケンタウロスをどう捉えているのでしょう。
 お盆を控えて新幹線の指定席の予約が去年の3倍以上埋まっているという反応を見ると、一時期のように感染を恐れてじっとしているわけでは無いようです。コロナ禍や猛暑に加えて元首相の衝撃的な銃撃事件による悲しみ、更に円安が加速して今のところ打つ手がないと思える経済的な打撃。決して他人事ではなく、ここにいても混沌とした様子が伺え、やるせない気持ちにもなります。
 他国の戦争、海外との金利格差、GDPの伸び悩み。この要素が円安の根底にあるために簡単には打開策を打ち出せることもできないでしょうから、アベノミクスという政策が今となっては心強かったのではないかとも感じます。
 「数々の苦境を乗り越えてきた国だから何とかなる」という安心感を持てるのも、日本という国の強みかもしれませんね。それがあるから、今できることをして耐えているようにも見えます。
 
 一方、中国は相変わらず抑え込み政策を堅持して、感染力の強いコロナに対しても今まで通り国力で封じ込めようとしています。その力には感心するほどですが、経済的にはやはり苦しくなっていることに変わりはないでしょう。2020年、2021年は世界がいろんな意味でストップしていました。そんな中でコロナを抑え込んでいた中国は世界の生産国として独り勝ちの状況でした。ところがコロナの被害は大きくなくなってきたことから各国はオープンへと踏み切ってきました。そしてコロナのツケによって出費がかさんだ財布の紐を固くし、それぞれ自国に目を向けるようになり、中国では今や生産量が明らかに減り始めています。為替だけを見ていると日本の一人負けのように見える円安ですが、内情はそうでもなく、今年後半から来年にかけてはこの国も決して楽観はできないように思えます。
 この国が抑え込み政策を解除できない理由はもう一つあります。医療不足です。ただでさえこれだけの高齢者も増えた人口を支えていくキャパが無い中で、コロナ感染者を増やすわけにはいかないという事情があります。そうして、経済的にみれば本当はオープンしたくても、それができないというジレンマもあり、簡単に打開していくのは難しいでしょう。今年9月には5年に一度のお偉いさん達の集う会が開かれます。国を今後導く人が決まっていくその会が、今後のこの国を左右することは間違いないでしょう。
 そしてその会が終わるまで、コロナ特効薬でも出ない限りは抑え込み政策を解除することもないでしょう。
 
 さて、我々商工会にも少なからず動きがありました。
 前回の通信で本人から挨拶をしていただきましたが、メグミちゃんが昆明を離れることになりました。今まで5年以上にわたり、商工会事務局や補習校の先生をしていただいたことには大変感謝しています。
 日本人の少ない雲南で、彼女のような逸材を手放すことは商工会にとっては大きな損失ではありますが、昆明から旅立つ娘を見送る父親のような気持ちで、彼女のこれからの幸せを祈っています。

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