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雲南日本商工会通信2022年6月号「編集後記」

 パチンコタレントをやっている友人が、1年前からYouTubeを始めています。「お前もやれ」と言われながら、彼がこれまでやらなかった理由は、「インターネットに共感できなかったから」です。とりわけ共感できないのは「匿名による言論」です。
 「誉め言葉なら別にいいけど、罵詈雑言は一種の怨念。言葉には魂があって、言いっぱなしの垂れ流しだと言霊が成仏できない。だから、言葉を発する者には“まず名を名乗れ!”と言いたい」。
 そんな彼も衛星テレビ業界の衰退により、背に腹は代えられないとYouTubeを始めたのでした。すると意外にもアンチコメントは少なく、胸をなでおろしています。
 ところでイーロン・マスクが先日、Twitter社を買収するとして話題になりました。買収のあかつきには実名制に移行するとのこと。要するにFacebookみたいな仕組みになるということです。ちなみに日本のTwitterは、匿名率が他国よりかなり高いそうです。これは、「2ちゃんねる」の「名無しさん」文化が日本に根付いていたからだと想像します。
 アメリカにも「4chan」があり、2ちゃんねる同様、「名無しさん(anonymous)」を基本としています。その結果、ディープステートやQアノンなど陰謀論が4chanを通じて盛んになり、その影響が実社会に広がり、深刻な社会分断の要因の1つとなりました。
 日本はそこまでではないものの、コロナ禍に入ってからはネットを通じて社会的分断が進んでいるのを実感します。
 実名制に反対する日本人は少なくないし、そうなったら実際に利用者が減るとは思いますが、「うっぷん晴らしのための投稿」という「娯楽」が、社会や個人に実害を与えかねない影響力があるならば、実名制への移行は妥当と言えるのではないでしょうか。
 規模や影響力からいえば、Twitterはもはや社会の公器です。とはいえ行政の規制に頼ると言論の自由の制限につながります。だから「発話者の態度が真摯であること(=実名であること)」を担保とするのが最善だと思われます。自由には責任が伴うのです。
 つまり、私も友人同様に「言葉を発する者はまず名を名乗れ!」と言いたいです。言葉は誰かを傷つける可能性があります。自分が発した言葉なのだから、最終的には自分が引き取る覚悟を持つべきだと思うのです。

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