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雲南日本商工会通信2022年11月号「編集後記」

 先月は中国の近未来について書きましたが、今月は日本の近未来について、都市伝説要素を含めつつ、凡人なりに考えてみることにしました。
 
 いま物価上昇が問題になっています。しかし、長い間私たちが騒いできたのはデフレ問題でした。だったら、「むしろこれまでが安すぎた」と言うべきではないでしょうか。
 なぜこれまで安かったのか。それは長期間「グローバリゼーション」が成立していたからです。グローバリゼーションとは「経済や政治、文化などが国境を越えて地球規模で統合・画一化・拡大していくこと」です。
 しかし昨今の国際情勢を見ると、「我々の世界はそもそも、グローバリゼーションを円滑に回せる世界ではなかった」と言えそうです。ある意味、「これまでは偶然にうまく回っていただけ」なのです。この発想で考えると「いままでが安すぎたのだ」と言わざるを得ません。
 グローバリゼーションが円滑に回った時代は、グローバルなサプライチェーンのおかげで、
・中国などから安い商品を入手できた。
・エネルギーを安く入手できた。

という世界でした。
その結果、安い商品が出回り、日本の国内産業は価格競争力で見劣りし、売上が落ち、賃金も上がらない……。
 
 ところが、以下の要因により「グローバリゼーションの途絶」が起きました。
・米中対立
・コロナとコロナ支援政策(未曾有の世界的な財政出動)
・ウクライナ問題
 その結果、日本にも変化が生じました。
・輸送費の高騰
・超円安
・原油高
・物価高
・賃上げ圧力
・製造業の国内回帰

 では今後はどうなるでしょうか。「グローバリゼーションの修復」が起こると推測します。歴史は単一方向だけに進まず、螺旋階段のようにジグザグに進むものだからです。すなわち、
・米中対立→新常態化(妥協しながらの冷戦化)
・コロナ政策→インバウンド再開
・ウクライナ問題→新常態化(エネルギー問題のひとまずの安定化)

となります。そして、上がったドル金利はじきに下がるのが必定です。

 その結果、日本はどうなるでしょうか。
1.物価→落ち着く
 世界情勢がひとまずの安定を見せ、ドル金利の上昇が止まれば、円安傾向の揺り戻しが起こり、その結果、輸入品価格は下がり、物価は高止まりしつつも落ち着きます。
2.雇用→人手不足と賃金上昇
 インバウンド需要で深刻な人手不足となり、自然に賃金が上昇します。
3.企業→倒産の増加
 コロナ支援金で延命を図ってきた企業は賃金上昇トレンドの中で弱体化。支援の焼け太り批判もあっただけに同情の声も少なく、新陳代謝が進みます。
4.消費者マインド→購入意欲が高まる
 賃金が上がっているところに物価高が止まれば、購入意欲は自然と高まります。
 
 以上のことから、短期的には日本が好景気になると予想します。
 ところが、都市伝説界隈では「2025年は災害年になる」という予言が多方面で語られています。そうすると、2023年は回復期、2024年に好調期、2025年に絶望期になると予想できます。つまり、2022年のうちに東京の繁華街の安い不動産をいくつも買って、2024年に売却すると吉でしょう。信じるか信じないかはあなた次第!
 
 ついでに中長期的に見ると、日本には変化しないもの、悪化するものもあります。
1.日本の製造業の地位
→すでに存在感が薄く、国内生産は増えるものの米中対立の主な受益者は台湾と韓国になり、大きな収穫は得られない。
2.中国商品の価格
→たとえ人件費が上がっても、サプライチェーンの優位性と中国企業のさらなる効率化によって大きな変化はない。
3.IT系の製品やサービスの欧米依存
→順調に依存が進む。
4.老人国家化
→順調に衰退が進む。
 
 そんな日本に対する長期的な処方箋は、「劇薬を投入し続けることでGDPを維持する」のを止めて、「いかに快適に衰退するか」に意識を転換することだと考えます。
 まずは医療や福祉など社会保障に係る産業を、快適に自動化すること。もちろん、高齢者にも優しいシステムで。ローコストかつ快適な社会保障システムの構築を目指していけば、ノウハウの横展開や海外輸出も可能かもしれません。

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